庭のトイレ


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実家は農家でいつも両親、祖父母は朝早くから仕事をしているので自分と2個上の姉、3個下の妹は分担して朝ごはんや家事をして学校に行っていた。
長期休暇期間は身体が弱い妹以外は大人たちと一緒の作業をさせられていたのでいつも疲れていた。農閑期の冬休みだけはなんとか気を抜いてダラダラできる程度だった。

農作業用に庭には簡易的なトイレがあって大人たちは朝イチ、昼ごはん後に必ずそこで用達して畑へ出ていく。その時以外は使われない。

姉が中学2年頃、朝起きると姉の姿が見えない。慌てて探し回っていると妹も起きてきて一緒に探し回ったが、見つからない。姉の部屋には学校の荷物がまだあったので家の中に入るはず、と思って玄関を見ると通学用のローファーはあったが、庭先に出る用のサンダルがなかったので庭に出ると遠くの方で大人たちの畑作業の音が聞こえる。姉は庭の花の手入れが趣味なので花壇の方へ行ったらいるかと思ったが、見当たらずにオロオロしていると妹が裾を引っ張って「お兄ちゃん、あっち」とヒソヒソ声で指差したのは例のトイレだった。
妹の声のトーンに合わせて忍び足で向かうと姉の姿があった。
姉は蹲踞の姿勢で目を閉じてゴソゴソしていた。壁に寄りかかってうっとりとした様子だった。そしてしばらくすると甘ったるい「あっあっ」と小さく声を上げた後にビクビクッと震えていた。姉は自分の手をうっとりと眺めた後、指を口で咥えて「今日も気持ちよかった」と呟いて立ち上がった。
姉が振り返ったところで目が合ってしまい、姉に「今の見た?」と迫られたので正直に「うん」と答えると母屋に引きずられて胸ぐら掴まれて「誰にも言うなよ?言ったら56す!」といつも優しい姉からは想像できない鬼の形相だった。気圧されて頷くことしかできなかった。
妹も自分の背後で頷くだけだった。

それから姉が見当たらないことはたまにあったが、その時のことを思い出して探し回らず大人しくするようになった。

 

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