野生のボノボが生涯に経験する生理の回数は、50回~100回。私たちよりずいぶん少ないです。
ボノボは8歳から9歳頃、初潮を迎えると初産までの数年間は生理があります。
しかし、妊娠すると生理が止まります。さらに授乳期間も生理がありません。
離乳すると生理が再開。生涯で平均6回出産するため、生理の回数が少ないというのです。
人間の女性だけ毎月生理がある。人間以外の哺乳類ではまず、月経に相当する出血がなく、またあったとしても人間のように毎月ではありません。
毎月あって、しんどいもの。私たちにとってのフツーの生理は、生物界から見たら異常。
出血には明らかな不利益がある。鉄分やタンパク質などの栄養分を失い,おそらく捕食者を引きよせることにもなる。
ヒトはなぜこのような仕組みを進化させたのだろうか。それは,人類の歴史において女性が生涯にわたって経験してきた月経の回数が,今よりずっと少なかったことと関係がありそうだ。
月経(生理)とは「妊娠に備えて形成された子宮内膜が不要になったため、剥離して血液という形で排出される」こと。
人間以外の哺乳類の多くで出血しない理由は、不要な子宮内膜は排出せずに再吸収してしまうこと。
また、種によっては、子宮内膜の形成が交尾の刺激や受精に伴うので、妊娠しないのに子宮内膜が形成される状況がなく、そもそも排出も必要無い。
雌が周期的に出血する「月経」があるのは,ヒトのほかはチンパンジー,コウモリ,ハネジネズミなど一部の動物だけだ。大部分の哺乳類は発情することで生殖可能のシグナルを出し,発情期の終わりに子宮内膜を吸収している。
一生に5人程度出産していた昔の日本人女性の生涯月経回数は、50~100回でした。現代の日本人女性の場合、1~2人しか分娩しないことから、生涯月経回数は、400~450回になりました。
これは、ここ100年前後の間に日本人女性の生涯月経回数が、4~9倍に増えたことになります。この月経数の増加に婦人科器官の対応が出来なくなるのは当然のことです。これが近年、子宮内膜症、月経困難症、卵巣癌などが増加してきた原因と言われています。
1万年以上前の暮らしを今も続ける、アフリカ・タンザニアのハッザ族。ハッザの女性は16歳頃に初潮を迎え、42歳頃に閉経するまで生理を経験します。
平均して6人の子どもを産むため、生涯で経験する生理の回数はおよそ140回。子宮など生殖器系の病気も報告されていません。
一方、現代の日本では、栄養状態がよくなったことで初潮を迎える年齢は早まり、閉経も遅くなっています。
出産回数も少ないため、生理にさらされる期間が長くなっているのです。
生理の回数が増えると、炎症を起こすリスクが高まり、子宮内膜症を発症しやすくなることも分かっています。生物学的にみると、不自然だという私たちの生理。
野生のボノボが生涯の生理の回数は
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