そして、また次の金曜日が来た。
篠原さんの顔を見れるのは、うれしい気持ちが半分、申し訳ない気持ちが半分だった。
1時間半のオンライン会話が終わり、
’小林君、先週も元気なかったけど今週も元気ないね。大丈夫?何かあったの?’
篠原さんは心配そうに私を見つめ、冗談ぽく
’心配事があったら、お姉さんが相談に乗るよ。遠慮なく言ってね’と笑んだ。
’そうだ、再来週から小林君も知ってる高崎君もオンライン講座に参加することになりました。
今、機器を発注してるところよ。だから、元気出してね’
それを聞いて私は慌てふためいた。このままでは私以外の人にまで、篠原さんの痴態を晒してしまうことになる。
焦った私は、’あ、あの、講義が終わったら、必ずwebカメラの配信を切るか、パソコンをシャットダウンしてください。そうしないと・・・・’と私は口ごもった。
’えっ?’
勘のいい篠原さんは、ピンと来たようだった。
’えっ、見えたままだったの?、やだっ、こ、小林君に、み、見えてたの?’
私が赤い顔して下を向いたままでいると、
’も、もしかして、私が寝る前にパソコン落とすまで、見えちゃってたの?’
私は素直に肯いた。
’えっ!!やだ、やだっ!。こっ、小林君!、ま、まさか、私のあれ・・・’
私は頭を下げて’ごめんなさい。すみません。’と言うしかなかった。
’え~、そ、そんな、やだやだ、どうしよう~。うそでしょう。小林君、さ、最後まで見たの?’
'・・・・・’
’あ~、やだ~。どうしよう。’
いつも冷静な篠原さんが慌てふためき、真っ赤になって、両手で顔を隠した。
’本当にごめんなさい。’
私は蚊の鳴くような声で謝るしかなかった。
’いや~、恥ずかしい~。私どうにかなっちゃいそう。’
篠原さんは、手で顔を覆って屈辱に耐えているようだった。
’え~、うそでしょう~、私どうしたらいいの~’
篠原さんの断末魔の声が続いた。
’小林君、私・・恥ずかしい・・・、女の一番恥ずかしい所を見られちゃったのね・・・。すごく恥ずかしい・・・’
私は心の底から誤った。
長い沈黙となってしまった。
ようやく、落ち着きを取り戻した篠原さんは顔を上げて、
’私すごく恥ずかしい。年下の男の子に見られてしまって悔しい気持ちもあるわ。
でも、小林君だけを責めることはしない。スイッチを切らなかった私にも落ち度があったのよ。
そうよね。若い男の人からすると画面に裸の女性が出てきたら見ちゃうわよね。それが普通だと思う。
だから、小林君あまり気にしないで・・。’
罵倒されると思っていたところに意外にも、
やさしい言葉を掛けられて、私は何とも言えない申し訳ない気持ちでいっぱいになった。