元妻はいい女だった。
キリッとした美形で、涼しげな眼をしていた。
巨乳でムッチリとした女体は艶やかで、まるでセックスをするために発育したようにそそった。
はじめて抱いたは元妻は23歳だったが、いい女だけにベッドの所作も、男根の扱いも、実に手馴れていた。
女陰に荒淫の名残は無かったが、明らかな経験値を感じた。
元妻は恥じらいよりも快楽を求め、俺の男根をむさぼるように腰を使った。
特に結婚してからは遠慮がなく、愛の名のもとに激しく快楽に酔い痴れた。
結婚して2年半、いつの間にかすれ違いの日々になっていた。
お互いの勤務のシフトはいつの日か変わる、変わればすれ違うことはわかって結婚したが、すれ違う生活で性生活もおろそかになると、心まですれ違ってしまっていた。
子供がいなかったことが決め手だった。
夫婦から友達に戻った。
離婚しても、俺は元妻を好きなままだったけど、電話もメールもしなかった。
俺からメールを送れば友達として返してくれると思うが、俺にとって元妻は友達じゃなかった。
友達として付き合うくらいなら、会わないほうがいい。
行き場がない想いだから、元妻に気持ちがあるうちは友達として会っても虚しくなるだけだ。
そう思って離婚一年過ぎたある日の夕方、仕事帰りに元妻の会社の前にたたずんでいた俺。
元妻の会社の前に一台の車が横付けされると、会社から元妻が小走りに出てきて、乗り込んだ。
元妻は、運転していた男とにこやかに会話していた。
元妻は、前に進んでいた。
別れた以上、お互いに前に進んで振り向いてはいけないと分かってはいたが、つい、俺は振り向いてしまった。
俺が見たのは、元妻の背中だった。
だからあの時、二度と元妻を呼び止めてはいけないと心に誓った。
俺が元妻の背中を見送った時、俺では幸せにできなかった元妻の幸せを素直に祈った。
「幸せになれよ・・・さよなら・・・元気でな・・・」