子供のころ、おれら家族の住居は工場の一郭にあった
小学1、2年の頃に、そこに引越して
6、7年ほど住んでた
台所の流しが、やたらにひろくて、理科室みたいで
風呂も、7、8人ゆったり入れるほど大きくて
和室は2室だけで、今思うと狭い
おれら家族が、そこに寝起きして生活してて
工場のパートさんも、控室みたいに遠慮なく使ってた
おれらが食事したり、テレビみたりしてる横で
下着姿になって着替えて
それが日常だった
◇ ◇ ◇
パートさんたちは、おれら家族によく気をきかせてくれて
急な雨のとき、洗濯物とりこんでくれたり
おれが熱をだした時、病院に付きそってくれたりして
親戚以上、家族未満という感じだ
風呂もいっしょだった
おれがゲームとかで遊んでると
燃料代がもったいないとお袋に言われて、風呂に入った
オヤジとパートさんが、さきに入ってて
くつろいで座って、のんびり仕事の話とかしてた
裸のオヤジは股間をぶらぶらさせて、平気で見られてて
おばさんたちも、まっ黒な毛の部分を全然隠さなかった
◇ ◇ ◇
お袋は若いころ、この衣料品工場でパートで働いてて
独身のオヤジも、男ひとりだけ、ここのアルバイトで
力仕事や雑用をしてたらしい
和室の控室も風呂も、その頃からあって
パートさんたちにすれば、もともと自分たちものだった
若い頃のオヤジは、女性パートさんたちと一緒に着替えして
風呂も、一緒に入ってたらしくて
初め遠慮してたオヤジだが
強引に、一緒の風呂に引きずりこまれたって本人が言う
みんな、子供のときから知合いだったようで
パートのうち、誰だか知らないが
昔、オヤジと子供エッチ遊びしてた人もいるらしい
◇ ◇ ◇
この工場だけではなくて
この町、ここの土地柄自体がのんびりしてる
町はずれの古い温泉が、無料の共同浴場で
いまだに混浴で
子供から大人まで、男女、裸でゆったり入浴してる
そんな田舎町だ
昭和の20年代、終戦のころまでは
この浴場のすみっこに、近所の子供が集まって
年長の子が年少の子あいてに、遊びで性交を教えてて
大人たちは知らん顔してた
わけ知しり老人が近づいて来て
寝所での男女の作法とか、あれこれ教える
子供の頃からみんな、相手を換え、場所を変え
いろんな機会に、性交経験を重ねてたものらしい
◇ ◇ ◇
突然、東京の本社がこの工場の閉鎖を決めて
オヤジもお袋も、パートさんたちも、みんなクビになった
仕事を続けたいと、みんなで工場を引継いで
オヤジが唯一の男性であり、事業主を引受けた(押付けられた?)
オヤジが言う、こんな田舎じゃ、ほかに仕事がないよって
パートさんたちは、年下のオヤジやお袋相手にタメ口きいてて
オヤジとお袋は、敬語で相手してた
特に気が強そうな二人がいて、まるで命令してるみたいで
オヤジは、いう通りになってた
つまり、何事も頭があがらないのだ
みんな頼りになるいい人たちだと、お袋は言ってたが
◇ ◇ ◇
風呂で親が、おれの背中を流してたが
オヤジもお袋もいないときは
パートおばさんに背中流してもらった
中には、世話好きのひとがいて
背中だけでなく、親切に全身を洗ってくれる
おれは背中向きに立たせられて
素手で背中を洗ってもらって、そのまま
お尻のあいだに指をすべらせて、われめを洗われた
その人は、いつもそうした
くすぐったいのを、おれはこらえてた
その手が、股間にすべりこんできて
金袋が下からつかまれて、揉んで洗われる
さおもつかんで洗ってもらって、いつもそこで終わった
そのおばさんに、そうしてもらってて、おれは
くすぐったいだけで、何とも思わなかった
ほかのおばさんたちが、こっちをじっと見てたが
なんで見てんのって、思った
◇ ◇ ◇
おれだって、好みのおばさんはいた
その人のまっ黒な毛の部分が見たくて
一緒の風呂をねらって入って
その人が風呂を股いで上がる瞬間を待ってた
見逃さないように、目をこらして
真っ黒の股間の、ワレメの奥まで、何度も見た
たまたま、その人が1人で入ってた日
おれも、すぐ後を追って入って
背中を洗ってあげたが
勇気を出して、後ろから手を伸ばして
おっぱいを揉んでみた
拒まれなかった
ふふふって笑われた
もっと下、へその下のほうにも、手が届きそうだったが
目の前のその人は、にこにこ落着いて
湯上りの肌のお色気で、圧倒されるって言うか
おれには、とても手が出なかった
あのとき、女陰のあたり、指を入れたりとかしても
たぶん拒まれなかったとは思う
◇ ◇ ◇
おれも普通に、体が成長する
ちんちんの周りに、大人の毛が生える頃になっても
風呂は、大人女性のみなさんと一緒だった
パートのYさんとお袋と、3人で湯に入ってた時だった
男の子の、毛の生えかけってさあ
なかなか、じっくり見る機会って無くてねえ
横に座ってたYさんが、そう言って
おれの下半身をのぞき込んだ
うーん、まだ小さい毛だなあって笑う
うちの中学生の娘も、やっと毛が生えてきてさあ
あんた見たい? そう言いながらYさん、おれの顔をのぞいた
いつか見せてあげようかね?
Yさんの娘さんは知ってる、こんちわって気さくに挨拶する
その娘さんの素っ裸とか、恥毛とか想像して
勃起した
あわてて、無意識に手で隠した
あれまぁ、元気に脹らませちゃって、そんなに見たいの?
はははって笑われた
お袋が、隠さないのって、低い声で言う
◇ ◇ ◇
あとでお袋に、怖い顔でいわれた
お父さんもパートのみなさんもね、隠さないのよ
あんたもね、隠しちゃだめじゃない
そろそろ、わかる年でしょ
あれでけっこう、みなさんね、女を磨いてんのよ
あんたもね、男を見られてあげなきゃ
見せて、見られて、ね、見てあげて、ね
それ楽しみにね、みなさん来てくれてんだからさあ
安い給料でね
うちの工場ね、楽じゃないのよ、これ以上給料払えないし
だからさ、あんたも協力してよね、いいね、わかったね
でもね、学校の友達とかには、しゃべっちゃだめよって
そんな言い方するお袋は、本当に怖かった、逆らえない
◇ ◇ ◇
年に3、4回、慰労会とかいって、工場の隅で酒盛りする
おばさんたちは、その日もバイク出勤してて
酔いを覚ますため、みんなで風呂にはいってた
おれも一緒に入ってて、覚えてるけど
わいわい、がやがや、酒臭くて、うるさかった
オヤジが遅れて、酒で赤い顔して入ってきたが
股間を少し勃起させてて、わざとなのか
その瞬間みなさん、ワーッて大きな声を出す
もっと、大きく起たせてみてよー、とか
せんかきしてみせてー、とか
きゃーきゃー、笑いながら言って、大騒ぎする
◇ ◇ ◇
そのうちオヤジは、おばさんたちに囲まれてしまう
みなさん、にやにやして、声もひそひそ小さくなって
むっふふって、含み笑いも聞こえる
中で何かされてんのか、様子はわからなかったけど
勃起を触る大人の女の、たくさんの手、手、手とか、おれは想像した
それとも、成人男性のせんかきを凝視する、女の目、目、目なのかも
だれかが、いやぁだ、どこ触ってんのー、って笑う
オヤジが、誰かの股間にでも、手を出してんのか
ふと切なく思ったが、おれにはよくわからなかった
◇ ◇ ◇
せんかきのことだけど
おれも覚えて、してた、けどそれは
風呂場で、おばさんに教えこまれたもので
それも、あまり好きでないパートのMさんだった
おれの、皮かぶったままのちんちんを見てて
せんかきは、まだしないのー? ってにやにや言って
横にいるオヤジに話しかけてた
今の子供たちって、昔と違って
せんかきとか、だれも教えてくれる人が、いないわけでしょ
それくらい覚えさせて、大人にしてあげたいよね
そう言って、指3本で輪を作って、おれのチンチンをつかんだ
そのまま、指3本で、上下にさすられて
くすぐったくて、おれは、膝をよじった
いいからって言いながら、裸のMさんに抱きつかれて
膝を押さえつけられて、そのまま、さすられて
◇ ◇ ◇
おれのちんちんが、Mさんの指のあいだで脹らむ
耳元で、ほらほら、じっとしてって小声で言われる
ずっと続けてさすってて、なかなか止めない
いつまでやってんだろうって、不安な感じだけど
でも、一方ではだんだん気持ち良くなって
見られてて、恥ずかしいし
とにかく耐えられなくて、無理に腰を引く
それで、体でMさんの肌に密着させると
あらぁ、どうしたのって言われて
おれにその気はないのに、ぎゅって抱かれる
オヤジはずっと横で笑って見てた
今度はね、自分でしてみなさいね
そう言われて、手を取って握らされた
言うとおり、自分をさすったら
おれの性器がさらに脹らんで、不思議だと思った
そうそう、そうするの、誰も見てないところでやるんだよ
そんなふうに、おれは覚えさせられてしまった
◇ ◇ ◇
せんかき覚えたての頃は、ところ構わず、やりたくなって
夕方、奥の和室でやってて
いつもは、誰も来ない時間なのに
開いた襖からパートのFさんに見られてた
やっと気がついて、あわててパンツ上げたけど
いいのよ続けて、見せてちょうだいよ
そう言われて、しかたなく、言うとおりやり続けた
気持ちよくなってくる、精液を出しそうになって
そうそう、そうやって続けてちょうだいって言われる
最後、射精の瞬間まで見られてしまって
つらくて逃げ出したいほどだった
Fさんが、無遠慮におれをティッシュで拭いて
よかったねって言う
◇ ◇ ◇
Fさん、せんかき見せてって言ったけど?
子供のおれのせんかきなんか、興味あんの?
見たいもんなのかな?
もしかして、Fさんって、すけべエッチなんだ
おれのちんちんが、また脹らんだ
Fさんだけでなく、みなさん、そうなのかな?
おれは見上げて、くすくす笑った
するとFさんも一緒に、くっくって笑って
立ち上がって、スカートの中に裾から手を入れて
真っ黒な大人下着を、下ろして脱いだ
おれの下半身を股いで、ゆっくり腰を下ろして
えーっ、何すんのってびっくり、だって、おれ子供だよ?
これ以上はつらいよ、いやだよって思ったが、言えなかった
◇ ◇ ◇
チンチンが、Fさんの股間の、温かくて柔らかいもの触れて
じっとしてって言って、腰を振って、すり付けてきた
ぬるって、勃起がFさんの中に入ったらしい
くすぐったくて、ぼーっとして固まって、されるままになった
そしたら、そこにお袋が来た、最悪だった
やだな、来ないでよーって思う
Fさんが、Tちゃん(俺のこと)お借りしてまーす、そう言った
あれあれ、Tなんかがお相手してもらってて、いいの?
いろいろ教えてあげて下さいねー
苦笑いしながらそう言って、お袋は襖を閉めた
Fさんが、お袋が承知したよって、いたずらっぽく笑う
給料がわりに、息子を差し出すお袋
ひっどい親だと思う
そのままFさんの中で、おれは、その日の2回目を出した
◇ ◇ ◇
パートさん同志、誰が仲がいいとか悪いとか
子供のおれには、わかるはずが無く
ある日突然、それを知らされて驚くわけで
慰労会の日だった、酒飲んで、みんなで風呂に入ってて
突然、Mさんの叫び声が浴室に響いた
ぎゃー、やめてよー、って
その横の、裸のYさんが
このー、あばずれがー、ってわめきながら
上からのしかかるように、Mさんをポカポカ叩いて
大きなおっぱいを、プルンプルン振りまわしてる
おれは息をのんで見てた
誰かが、やめなよー、って叫ぶ
その時Mさんが、急に目をむいて、Yさんを突き飛ばした
◇ ◇ ◇
ザブーンって大きな音がして
おれの目の前で、裸のYさんがお湯の中に倒れて、その瞬間
裸のMさんが馬乗りになって、髪の毛をつかんで押さえつけてて
湯の中のYさんが、苦しそうに足をバチャバチャさせる
溺れちゃうー、おれ、怖くて震えながら見てた
裸のオヤジが、後ろから飛びついて
Mさんに力一杯抱きついて、必死な顔で引き離した
Mさん、足でバチャバチャ暴れて、Yさんを蹴りつけてる
オヤジは、Mさんの乳房や、裸の腰のあたりを両手でぎゅっと掴んで
やっとの様子で、後ろに引きずってた
見るとオヤジは、ビンビンに大人勃起してて
それをMさんのお尻に、ピッタリ押付けてる
◇ ◇ ◇
Yさんは、お湯から引き上げられて、みんなに抱えられて
ゲッホゲッホッホ、って
苦しそうに大きな咳をしながら、脱衣所に運ばれた
オヤジがMさんから手を離して、落着いて下さいよって声かけてた
みんな、周りで、黙り込んでて
Mさんはうつむいてたが
急に、ウワーって大声で泣いて
オヤジに正面から抱きついて、離れない
◇ ◇ ◇
裸で抱き合ったままのオヤジとMさんを残して
みなさん、浴室からあがった
ウゥーウゥーって低い泣き声が、しばらく浴室から聞こえてた
Yさんは床に座りこんで、ひっくひっく、しゃくりあげてたが
静かに服を着て
大丈夫、病院に行くほどじゃないよって、お袋に言って
タクシーを呼んで帰った
お袋が、心配そうに付添って乗った
浴室は静かで、時々、ちゃぽんって音が聞こえる
おばさんたちは、誰も浴室に近付かなくて
みんな着替えて帰ってしまって
最後はおれ一人になった
Mさんとオヤジは、ずっと、1時間くらい出てこなかった
中で二人で何してたのかは、子供のおれでも見当はついた
お袋は、なかなか帰ってこない
そんな事件があった
◇ ◇ ◇
今は工場は無くなって、空き地になってる
町全体が、変わってる
共同浴場の混浴の温泉だけは、そのままだ