退屈な日常を生き抜く


2文字数:5543

「あなた、お仕事頑張って。」
「春子も。」

自分達の住んでいるアパートの前で、軽くキス。
「春子。」
「何?」
「顔。赤いよ。大丈夫?」
「そう?大丈夫よ。心配してくれありがとう。」
「良かった。それにしても、春子の鞄大きいね。じゃあ。」
夫の爽やかな微笑み。私は、それを見て安心する。

私は南へ、夫は北へ行く。
近所ではオシドリ夫婦で有名。
しばらくアスファルトの道路をヨロヨロと歩く。春の爽やかな風。舞い散る桜の花びら。
それとは対照的にドクドクとした欲望が体中を渦巻いている。
ーはあはあ。
ゆっくりと歩いているのに、体が火照っていく。汗も吹き出し、唇から涎がとめどなく流れる。

ー大きいものを入れていると、歩きづらいわあ。

私は、途中で、ガクッと腰を下ろす。
ーもう限界。
近くを通る50歳くらいのサラリーマンに、声をかけられた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です。」
サラリーマンは怪訝な顔して、離れていった。
私は休憩がてら鞄からスマートフォンを取り出す。
メールを起動する。
「7時20分発の3番目の車両で待っています。あれは入れているよね。」
とのメール。
私は、すぐに返信する。
「入れています。」
送信ボタンを押す。
「いい年して笑。最近の人妻は怖いな。了解です。」

ドロッドロッとした欲望が体から湧き出てきた。私は、歩く速度を速めた。とにかく、走った。汗がビショビショになるまでに走った。ドクドクとしたものが、込み上げてくる。

ーはあん!

途中で石につまづいてこける。
幸い怪我はなかったが、頭が真っ白になり、しばらく動けない。

ーもう。何で石がここにあるのよ。

私は石を投げつけた。周りを見る。行き交う人の群れは無関心のようだ。私スカートの中に右手を入れる。

ー良かった。とれていないみたい。

しかし、手にはヌメッとした液体がまとわりつき糸を引いていた。

ーまあいいか。

私はポケットの中きらハンカチを取り出し、涎と涙と手にかかった液体を拭き取る。

ー少しスッキリした

そして、起き上がりまた走る。

また、グイッと腰を落とす。
頭が真っ白でしばらく動けない。
喉も渇いたので、鞄からペットボトルの水を取り出す。
グイッと、唇から水が垂れてくるまでに一気に飲み干す。

ーはあ。美味しいわあ。

私はまた、走る。
そして、駅の前の公衆便所で並ぶ。

ー早く。漏れそうだわ。
イライラしてくる。
5分ほどして、ようやく開いた。出てきたおばさんが、私の顔を見て驚いた様子だった。和式トイレの個室に入る。アンモニアの臭いが鼻につく。
鞄から重い袋を取り出した。さらに、中にある巨大なものを取り出す。

ーボヨンボヨン

とそれは揺れた。
チンポの形と色をした2つのディルドであった。直径は9cm。どんな男のものよりも大きいであろう。筋が無数に通り、本物よりもリアリティがあった。
私はツバをゴクリと飲む。そして、舌でそのチンポをツバを垂らしながら、それらを舐める。

スカートの中に手を入れる。股間に食い込むハイレグの生地をどけ、プラグを取り出そうとするが、ピアスと振動が邪魔でなかなか取れない。

私は仕方なく、スイッチを切り、やっとのことで取り出すと、ベトベトになった巨大なバイブがヌルヌルと、出てきた。

ーうわっ

昨日から入れているとはいえ、よくもこんなにベトベトにしたなと、我ながらに思った。
私は、後ろかさらに手を突っ込み、もう1つのバイブを取り出す。
なかなか出てこなかったが、なんとか取り出すことに成功。バイブは汚れ、匂いも凄かったがまあ仕方ない。
袋に入れ、鞄にしまう。

私は、1つ目のディルドを床に置く。巨大なだけではなく、膝上まである長いディルドだ。吸盤になっているので倒れない。スカートを脱ぎ、メタリックの生地ごしにローションをたっぷりと塗り、準備満タン。
そして、猿履をし声が出ないようにする。
ピストンをしながら、後ろの穴にゆっくりと入れる。

ーはあん。美味しい〜!

奥に入るたびに、快楽の波が押し寄せてくる。

ピチャピチャ!

「お!お!おほ!」

あまりの気持ち良さに、猿履をしても低い声が漏れてしまう。全部飲み込む。腹がディルドで膨らむ。電撃のような快楽が私を襲う。気絶でもしないかと少し焦る。

しかし、構わずに、もう1つのディルドを入れる。

ーはあん!二穴同時に入れるの最高!

3回くらい絶頂を迎え、最後には潮まで吹き、個室のドアを濡らす。
もう1イキしたいが、これ以上やると本当に気絶するし、時間も時間なので、ここで我慢する。

グッチョリとなったディルドと汚れたディルドを取り出す。それらを袋に入れ、鞄にしまう。後ろの穴がポカリと開いているのが自分でもわかった。
面倒なので、ハンカチで股間は吹かず、そのままスカートを履く。粘液で股間がすうすうと冷える。

自分の出したもので汚れた個室。申し訳ないと思いながら、水を流し外に出る。
フラフラとするが、まだ物足りない。

腕時計を見る。7時15分。階段では登れないので、エレベーターでホームに出る。
もの凄いひとだかり。
「今、着きました。」
と、メール。
向こうからも、
了解!とのメールが。

4本の足音。
ー来た。来た。
と私は股間を再び濡らす。痒くなる。ポタリポタリとピアスを伝い、ホームのアスファルトを濡らしているのが自分でもわかった。それなのに、周りの人間は気づかない。

電車が来る。
私達はゾロゾロと乗る。
音楽と、ドアの閉まる音。
走る音
ーまだかしら。
満員電車。
私がイライラしながら揺れていると、細い指が股間に入ってきた。
この指は淳子さんのかしら。
耳元から、溶けるような女性のささやく声。
「春子さん。今日もグッチョリね。オナニーでもしたのかしら。」
南津子さんの声だった。
私は、ドアに押しやられる。
突起物をつねられる。

腰がガクッとなる。必死に体を支えるが、足がガクガクと震える。
「あら。もうイッたのかしら。早いわねえ。大丈夫。私達が支えるから、おもいきり乱れな。」
絵里子さんの囁き声だった。

ー周りにバレるんじゃないかしら。

私は喘ぎ声を必死に抑える。
南津子さんに口を押さえられる。
10分ほど、彼女達に翻弄された後、
「今日は12時に宗太郎さんの家で。」
と言われた。

ドアが開く。ようやく解放された私。
2人は何事もなかったかのように、足早に去っていく。上品な佇まいの2人。まるでさっきのことが嘘のよう。

会社に休むことを連絡し、しばらく、喫茶店で休んでいた。

昼食をとり、アパートへ。

実は、私は夫としか経験がなかった。しかし、子供もできず、退屈な日常を過ごしていた。そして、夫の単身赴任。
「上品で清楚な奥さん」
という評判にも耐えられなかった。

ー私は、「奥さん」ではなく、私なのだ。

と思った。自分を取り戻すために、英会話教室に行った。そこで、南津子さんと知り合う。すぐに仲良くなった。3か月ほどして、飲み会に誘われた。
そこで、宗太郎などの若い男達と知り合った。ラグビー部の学生や、浄水器の営業している人など様々な人がいた。年は20代から30代前半。精悍な顔つきをしていた。
そこで、打ち明けられたのだ。実は乱交サークルだということを。

その日は、ビックリして何もせず帰った。しかし、迷いに迷ったあげく、参加することに決めたのだ。
未練も後悔もあった。夫に対する罪悪感も。しかし、それ以上に自分でありたかった。そして、私は快楽に溺れ、人生を楽しむようになった。

「ちょっと。奥さん。もうやめてえ。」
私は、男達がひいても一物をシャブリ続けた。美味しい。
下からも、前の方の穴に一物が入っている。そして後ろからは、南津子さんにペニスバンドで、肛門をおかされていた。頭が真っ白だ。

チュパッ

「はあん。何よ。私をど変態にしたのはあんた達でしょ。これでも、上品と言われていたんだから。ああ!またイクう!」
ガクっと腰を下ろす。
仰向けになっている男のチンポが奥まであたり、更に気持ち良くなる。
「ああん!」
「春子さん。重いよー!」
「はあ。はあ。何よ。これくらい我慢しなさい。」
仰向けになっている男が、泣きそうな顔をしている。普段は恰幅のいい筋肉質の男。いじめたくなった。
「春子さん。今でも言われているわよ。でも、本当の顔は、どスケべな変態淫乱熟女」

ジュバジュバ!

横から冬美さんに、上腕を舐められる。冬美さんの舌ピアスがあたり、少し痛い。そこには際どい格好をした女の入れ墨がある。

何回かイッた後、私はリクエストをした。

「あはーん!今日は、逆さずりにしてえん!」

「いいとも。これを履きな!」
絵里子さんに、渡されたものは、編みタイツと太ももまで覆うピンヒールのエナメルブーツだった。

ズズズ。

ブーツのジッパーを閉める。立つと、背が高くなった気分になる。私は高揚して、仰向けになっている男の足をおもいきり踏んづけた。

苦痛に歪む男の端正な顔。対照的に一物は元気になっている。

私はそれを見て、ニヤリと笑う。
「ちょっと。待って。この男をいじめてから。」
私は男に跨り、耳元で囁く。
「私に踏んづけられて立っていたの。」
「はい。立っていました。」
男は叫ぶようにして行った。
「じゃあ、ご褒美をあげるわ。」
私は自分の舌を男の舌に絡める。そして、自分の後ろの穴に男の一物を入れり。前の穴とは違った一体感、一物の生暖かさを腸壁で感じる。締め付ける度に襲う鈍い悦び。
「おっほ!おっほ!」
私は、喉の奥から猿のように声をあげ、男の舌を舐める。

「おお!」

時々、襲う大きな快楽に耐えきれず、私は口を離し、野獣のように叫ぶ!
そして、また男の舌に自分の舌を絡める。

キュッキュッ!

エナメル革と板張りの床が擦れる男が聞こえる。私達はこの男を馬のように調教していた。この男には、一物の毛が一本もない。私達が永久脱毛させたのだ。もっとも、私達の毛もないが。

何回かいったあと、ようやく私は逆さずりにしてもらった。全頭マスクもされ、前も見えないまま、頭に血がのぼる。手は後ろに縛られ、乳の周りも形が変わるくらい縛られる。逆に足は開かされたまま吊るされる。

「どう。吊るされた気分は。」
足の方から南津子さんの声が聞こえる。
「はい。最高です。春子をもっといじめてください。」
「あんたのガバガバのマンコが、ヒクヒクしながら垂れ下がっているわよ。何とかしなさい。」
ピアスをしているためだろう。今度は被虐感にヨガル。

チュパ!

一瞬、何が起きたのかと思った。南津子さんが前の穴に腕を入れてきたのだ。更に、後ろの穴にも腕を入れてくる。両方の穴から、襲う強烈な快楽。腕を締め付ける度に、膣壁と腸壁から更に猛烈な悦びが襲ってくる。

「マンゴも、ゲヅもイグう!」
「ははは。この子。ケツでヨガっているわあ!」
「ケツは、私が調教したからね。」
激烈な快楽に気が狂いそうだ。
「もうやめでえ!じぬう!じぬわ!!」
南津子さんは、無慈悲にも、さらに尻の奥まで腕を入れていった。やがて、激烈な快楽はとろけるような快楽に変わり、声すら出なくなった。
ヨダレと涙がとめどなく流れていった。
「ははは。お腹が膨らんでいるわあ。」
冬美さんの、嘲笑が聞こえる。冷たく残酷な声だ。
膣、クリトリス、子宮口肛門、直腸、S字結腸のそれぞれ違った快楽が合わさり、激烈な悦びが襲う。本当に死ぬんではないかと思った。
「ひるい!ひるい!もうやめれえ!」
気が遠くなっていく。

パシン!

絵里子さんに、背中を叩かれ、目を覚ます。
「起きなさい!」
「ははは。もっろ。めすいぬのはるこのころいじめれえ!」
私は、声にならない声を出す。

気が遠くなるたびに叩かれ、ついには、顔におしっこや、精液までかけられた。生暖かい瘴気と強烈な青い匂いが、マスク越しに伝わり、目を覚ます。
高笑いする男女の声。

ここからは、覚えていない。

目を覚ますと、私はソファでぐったりとしていた。スマホを見ると日付けが変わっていた。カーテンを開けると眩しい太陽の光。絵里子さんがご飯を作ってくれた。
大量の水分を出したので喉が渇き、水を浴びるほど飲んだ。みな、げっそりとなり目の下にクマが出来ていた。

「昨日はやり過ぎたみたい。疲れちゃった。」
「でも、機会があればまたやりたいわあ。」

ご飯を食べたあと、解散。そして、彼女たちは涼しい顔をして日常に戻り、夫や子供のご飯を作る。

これが、彼女達の「退屈な日常」を生きる術なのだろう。しかし、「退屈な日常」は、いつかは終わる。その時のために、祭りの日は思い切り乱れ続けようと思う。

 

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