「命に別状はない」
と言われたものの、その日の晩には高熱でうなされた。
氷枕を2度取り換えたが。3度目はなかった。
「お客様。こちらは初めてですか」
「智美です」
見るとどこかで前にお会いしたことがあるような。
しかし記憶がつながらない。
『まあいいや。一夜限りのことに口を挟む余地もない』
個室に入るともう一切口を利くことはなかった。
体を洗ってもらいいよいよベッドに。
後ろ向きで跨ろうとした女の背中に描かれた絵は弁天様。
激しい逆ピストンでたちまち昇天した。
お礼を言って店を出たとき師走の風が冷たかった。