両親が共働きであったため、私は幼稚園ではなく保育園に通っていた。
保育園は幼稚園と違って夕方まで園児を預かる。
そして、給食のあとは2時間ほどのお昼寝があった。
私はその頃からませた子どもだった。
ませた子どもは、他のませた子どもがわかる。なんとなく通じるのだ。
私は、自分で言うのもなんだがませた男の子達からモテていた。
「延長保育」と言って、親の仕事等の都合によって開園時間後も園を開放する制度があったが、私はそれに該当する園児だった。そして、同じような園児と暗くなり始める時間まで一緒に遊んでいた。
延長保育の時間、私は仲の良い男の子とよく遊んでいた。
女の子の友達は、みんな比較的早く帰宅していたのが理由だ。
ある日、たかしくんという仲の良い男の子がこんなことを言い出した。
「裏のさ、庭に行かない?」
私は快諾した。裏庭は先生の目があまり届かず、ちょっとスリルを感じた。
たかしくんに促されるまま私達は裏庭へ行った。
たかしくんは、私に「ちゅーしていい?」と聞いた。
私は「ちゅー」の意味は分かっていたが、なんとなく恥ずかしかったので「え~?」と躊躇っていた。
しかしたかしくんは素早く私にキスをした。
頭が真っ白になる思いがした。他人のくちびるがあんなにも気持ちいいとは思わなかった。
そして私達はすぐにディープキスを楽しんだ。
それから、たかしくんと私は、先生の目を盗んでは裏庭へ行き、お互いのくちびるの甘さを確かめ合う仲になった。
ある日、お昼寝の時間に私とたかしくんは隣同士の布団に寝ることになった。
説明しておくが、園児らはそれぞれ自分の枕を園に置いており、お昼寝の時間の前になると、その日の当番さんが枕をランダムに布団に置いていくのだ。
そしてその日、たまたまたかしくんと私の枕が隣に並んだのだ。お昼寝の時間は、先生が絵本を読み聞かせしてくれる。みんな、すぐに眠りにつき、時には先生もまた一緒になって寝てしまう。
普段からあまりお昼寝の時間も寝付けなかった私は、先生の読み聞かせる声が途絶え、教室全体が静まりかえった頃になってもぱっちりと起きていた。そのとき、隣で寝ているはずのたかしくんが私の方へ手を伸ばしてきた。
驚いたが、心の何処かで喜んでいた。こうなることを望んでいた。
反応した私にたかしくんも驚いていたようだったが、私達は掛けられた布団の下でお互いの身体をまさぐりあい始めた。主に、パンツの中を。
セックスについての知識はもちろん無い。
しかし、性器を触ることがいやらしいことであり、またそれが快感をもたらすということを私達は本能的に知っていたのかもしれない。たかしくんは、私の割れ目を、私は、たかしくんの硬いものを、飽くことなく触りつづけた。
それ以来、たかしくんと私とのどちらかが枕を配る当番さんになると確信犯的に私達の枕を並べた。もちろん、目的は1つだ。
そのうち、たかしくんは親の仕事の都合で引越し、もちろん保育園も退園していった。
私はそのことを少しだけ寂しいと思ったが、恋愛していたという訳でもなく、その寂しさはすぐに消えてしまった。
残ったのは、たかしくんとの「あそび」でおぼえてしまった快感への未練であった。以来、私はそれが「自慰」であるとの自覚なく、オナニーを覚えていった。
毎晩、寝る前に性器を触るのだ。ただ、それだけだった。
やはりセックスの概念がないためか、性器を触るだけで満足していた。
小学生時代は、その園児時代の体験のせいか、性に関してとても強い関心を持った子どもだった。
そんな私が、セックスというものを初めて目の当たりにしたのは、小学校5年生の頃、友達の家で見たアダルトビデオだった。友達のお兄さんが持っていたビデオを、面白半分にみんなで再生したのだ。
みんなは「エロ~い」などと言い、ふざけあっていた。私ももちろん軽口を叩いたが、内心はとても興奮していた。あんなにいやらしい行為があるのだ、と喜びさえ感じていた。
以来、私のオナニーはただ漠然と性器を触るというものから、はっきりとセックスを意識したものへと変化していった。同じ頃、私に初潮が訪れ、身体そのものも大人への変化を始めていた。
胸は、既にCカップあった。
近所には、毎日のように下校を共にする男の子がいた。
恋愛感情があった訳ではない。ただ、彼―あきおくん―は頭が良く、話も合い、また同じクラスということもあり仲が良かったのだ。
その日も、私達は一緒に帰っていた。そしてあきおくんはこう言い出した。
「俺、家帰ってからおまえんち行っていい?りょうくんと」
りょうくんとは、私が密かに思いを寄せていた、やはり同じクラスの男の子だった。
そのりょうくんが、私の家に来る、と思っただけで単純に嬉しかった。
私は「え~どうしよっかなぁ」と小学生らしい照れを見せながらもOKした。
そして約束通り、あきおくんとりょうくんはうちを訪ねてきた。
私の両親はそのときもやはり共働きだったので、家の中には鍵っ子だった私だけだった。
私達は、小学生らしく3人でゲームをしたり学校のことを話したりおやつを食べたりしながら時を過ごした。片思いをしていたりょうくんと一緒にいる、と思っただけで私はとても楽しかった。
しかし1時間もしないうちに、地域のスポーツクラブに所属していたりょうくんはうちを後にして練習へ行ってしまった。
あきおくんと2人になった私は、少しだけがっかりしながらも、残ったのがりょうくんではなくあきおくんであったことにホッとしていた。
りょうくんと2人だとうまく話せないかもしれないからだ。コタツに入っていた私達はゲームを続けていた。するとふいに、正座していた私のモモに、寝転んでいたあきおくんが頭を寄せてきた。
「ひざまくら、楽ちん~」と言うあきおくんに、私はちょっとドキドキしていた。
男の子にひざまくらなんて、初めてだったからだ。
そのうち、あきおくんはゲームをする手を止めた。そして、こう言った。
「ねー、エッチなこと、したい」
一瞬、その意味を捉えかねたが、私はすぐにうなずいた。
エッチなこと。
保育園の頃よりははるかにそのことを分かってはいた。
しかし、どうすればいいかは分からない。戸惑っている私のスカートの中に、あきおくんは手を差し入れてきた。太ももをなぞり、パンツのゴムに潜り込む手。
私は正座していた足を崩し、絨毯の上に身体を横たえた。あきおくんは、私のスカートをめくった。
「ん…」声が漏れる。
「ねえ、脱ごっか」とあきおくんが言う。
あきおくんと私は身体を起こし、お互いの服に手を掛け合った。小学生の私にとって、男の子に自分の身体を見せるのはとても恥ずかしかった。
しかし、その恥ずかしさを越えるほどの「エッチなこと」への強い好奇心が私を突き動かしていた。ブラジャーを見たあきおくんは、「おまえ、やっぱブラジャー着けてるんだね。男子が噂してたから」と言った。私は火が出るほど恥ずかしかったが、うん、とうなずいた。
裸の胸を見られるのが恥ずかしかったので、下着姿のままコタツの中へ身を入れた。
「なんで隠すの、見せてよ、おまえ、クラスで一番胸大きいよな」
あきおくんが後ろから腕を回してくる。あきおくんも上半身を露にしていたので、私達の裸の肌が触れ合い、そのことが私の頭を狂わせた。あきおくんが、ブラのホックを両手で外すのを背中に感じた。
決して器用ではないその手つきが、なんだかいとおしかった。
「こうなってるんだ」とあきおくんは外したブラをまじまじと眺めていた。
「あんまり見ないでよ」と言う私に、あきおくんは「キスしよう」と言った。
私達は、そのとき初めてくちびるを重ねた。保育園の頃のたかしくん以来の口づけだった。
そのキスは、すぐに濡れたものになった。舌を入れ、舌を吸い合い、粘膜の味を楽しんだ。随分長い間、キスをしていたように思うが、どれくらいだったかは分からない。とにかく、お互いのくちびるを求め合った。
そのうち、あきおくんの手が私の胸に置かれた。私は何とも言えない喜びを感じていた。あきおくんはくちびるを離し、代わりに私の上で腕立て伏せをするように身体を起こして私の胸におそるおそる口づけた。胸への優しいキスは、すぐに激しい愛撫へと変わった。
ぴちゃぴちゃ、と音を立てて乳首を吸われ、私はますます真っ白になっていく自分を感じていた。腰の周りに広がる、じんわりとした感覚。むずむずと落ち着きをなくしていく。
パンツの中へ入れられる手によって、その居心地の悪いむずむずは解消される。それを求めていた。ずっと、誰かに触られたくてしょうがなかった。
性器に触れられるスリルと快感が一緒くたになって私の身体に押し寄せる。
「…ぬるぬるしてる…」
あきおくんが、つぶやいた。
パンツを引き下げられ、そしてあきおくんも自らトランクスを脱いだ。
あきおくんの下腹部にくっつきそうなくらいに起立しているそれは、とても大きく見えた。
「俺のも」と言ってあきおくんは私の手を自分のそこへ導いた。
おそるおそる触れると、それは私の手に少し余るほどの大きさだった。
少しだけ握ってみるとそれは硬い弾力を持って私の手に感じられた。ゆっくりと扱いてみた。皮と身との摩擦を、私は本能的に知っていた。
あきおくんは、「あ、気持ちいい」と吐息した。
お互いに少しだけ生えている陰毛をつまんだりもした。あきおくんは、私の愛液を自分のものの先に塗りつけていた。「それ、気持ちいいの?」と言うと「うん、ぬるぬるしている方が気持ちいい」と言った。
セックスとは、ペニスを私のあそこに入れることである、とは知っていた。しかしそのときは、そのことが信じられない思いだった。あきおくんのこれが、私のここに入る?それは、とても、本当にいやらしい行為のように思えた。
「セックスって、これを○○ちゃん(私の名前)のここに入れることだよね」
あきおくんは言った。あきおくんも知っていた。けれど、入れてこようとはしない。
「ぬるぬるしてたら気持ちいいから、ここに入れたら気持ちいいよね」
私はそんなことを言った。入れて欲しかった。
けれど、アダルトビデオを見たにも関わらず、どんな格好をすればペニスがここに入るのか、私はさっぱり見当がつかなかった。ビデオの中ではフェラチオしているところもあったのだが、私にはそれはできなかった。だから、入れたらいい、と思ったのだった。
「入れてもいい?」
あきおくんが訊いてきた。
私はうなずいた。
けれどやはり、どうすれば入るのかは分からず、ただ寝転んでいただけだった。
「じゃあ」あきおくんがまた身体を起こした。「入れるね?」あきおくんの膝が、私の両足を割った。
あっ、と思った。「や、恥ずかしい」私は足を閉じた。あきおくんの腰を挟む格好になった。「だめだよ、入らないじゃん。」あきおくんは私の足を持ち、開き、膝を折った。
あきおくんのものが、私の入り口に触れた。
ああ、そうか、こういう格好すれば入るのか、などと冷静な自分もいたが、私の頭の中は、あきおくんのペニスが触れた快感でいっぱいだった。びっしょり濡れていた私に、あきおくんは抵抗無く入ってきた。
あきおくんが侵入し、私達の腰がぶつかりあった瞬間、快感は絶頂に達した。
「あ…」お互いのくちびるから声が漏れた。
何度か、腰をぶつけあった。
くちゅん、と音が響いた。
ぱん、と肌がぶつかりあう小さな音も。
「ん…はっ…」と、声にならない声も。
しかしそれは、3、4度ほどだけだった。
あきおくんの動きが止まったのだ。
あきおくんは、私の上に崩れてきた。
「だめ…イっちゃった…」
苦しい息の中、あきおくんはそう言った。
いっちゃったって、どういうこと?私は思ったが、口には出さなかった。あきおくんはとても気持ちよくて、気持ちよすぎて動けなくなったんだ、と思った。
私の胸の上で息を上げているあきおくんを愛しく思い、私はあきおくんの背中を抱きしめた。しばらくそうしていると、あきおくんが私の中からあれを引き抜いた。
ちゅっ、と小さな音を立ててそれは私から離れた。私も身体を起こすと、私の入り口からこぼれるものを感じた。生理になったのか、とあわてて腰を浮かすと、白濁した液体が太ももをつたった。
「なに、これ?」悲鳴混じりの声を上げると、あきおくんが「精子だよ」と教えてくれた。
「精子って、あの精子?」あきおくんはうなずいた。
精子について、なんとなく知っていた。赤ちゃんができるときに、関係するもの。けれどそのとき、私は「エッチをすると男の子は精子を出すんだ」という驚きが強く、妊娠の危険性についてはなにも感じなかった。もう生理のある年齢なのに。
私達は、こぼれた精液を拭い、ちょっとだけついてしまったコタツ布団は水をかけて揉み、証拠隠滅を図った。この行為が親にばれたらいけない、ということは知っていた。
時計を見ると、5時半だった。私はなぜか、この時刻を鮮明に覚えている。あきおくんは、私の家をあとにした。玄関まで見送りに行った私に、また長いこと深いキスをして、じゃあね、また学校で、と帰っていった。
あきおくんが帰った後、私は保健体育の教科書を開き、精子について調べた。そして、精子が入ると妊娠してしまうこと、それを防ぐためにはコンドームという物を使わなければならないこと、がわかった。
私は焦った。どうしよう、赤ちゃんができてしまう、と思い、動揺した。そして、ドラマで見た「生理がないの」というシチュエーションと結びつき、生理が来たら妊娠じゃない、と思い、生理来ますように、とすがるように祈った。
しかし杞憂に終わった。その日のうちに生理になったのだ。
性に関して興味が発達した私は保健体育の生殖に関する部分は読んでいた。しかし妊娠するという概念については興味が乏しく、ただ、男の人にはペニスがあり、それを女の人の膣に入れることがセックスというものだ、という認識だけしていた。この日を境に、妊娠という概念が私の中に芽生えた。
そして、避妊という概念も。私は貯金箱を空け、コンドームを買いに走った。ドラッグストアの駐車場の端っこに、その自動販売機があることは知っていた。そしてそれはちょっといやらしい物を売っているということも知っていた。
けれど、それはコンドームという物で、避妊に使うものだということは考えてもいなかった。私は、車通りと人通りのないスキを見計らって、コンドームを買った。
家に帰ると、母が帰宅していた。私はコンドームの箱がばれないよう、持っていた手提げを体の陰にしながら
「おかえり」と言った。「今まで友達の家に行ってたの」とも。
自分の部屋に入ると、内側から鍵をかけた。そして、買ってきたコンドームを開封し、1つをまじまじと観察した。小さなゴム製品だな、というのが第一印象だった。そして説明書のように装着してみたくなり、工作道具ののりの容器を出し、それにかぶせ、注意深く引き下ろした。
意外とすんなりとかぶせることに成功し、私は嬉しく感じていた。そうか、これをおちんちんにつけてセックスをすると、あの精子がこれに出て、あそこの中には出されないんだ。だから、赤ちゃんはできないんだ。
私は、避妊についてこうして学んだ。
次の日、いつもと同じようにあきおくんと下校した。そして、ひそひそ話をした。
精子を身体の中に出すと、赤ちゃんができてしまうこと。それを防ぐために、コンドームっていうゴムをおちんちんにつけてセックスすれば大丈夫なこと。
要点は、その2つだった。
あきおくんも、なんとなくは知っていたようだ。ただ昨日は、自分でも驚くほどすぐに出てしまい、家に帰ってから
私と同じように保健体育の教科書を見てビックリしたと言っていた。
私は、直後に生理がきたので大丈夫、赤ちゃんはできないよ、と言った。あきおくんは、「そうか」と言った。そして、「生理ってどんな感じ?」と訊いてきたので簡単に教えてあげた。それまでは、男子が生理のことをからかうと嫌な気持ちになったがあきおくんにはすんなりと話すことができた。
そして、「この生理が終わったらまたしよう」と言った。
今思えば、小学5年生の私達がこんなことを話していたことがとても不思議なことに感じられる。とても多感な時期であるにも関わらず、私達は秘密を共有することによって急速に親しくなり、性のことについてこんなにもオープンに話すことができていた。
だから、あきおくんは私の生理について理解を示し、からかう男子とは一線を画して「いい男」になっていた。少なくとも私にとっては。
そして私も、あきおくんから聞く性についての話にたくさんのことを学んだ。朝はあのときと同じように勃起すること、小学校に入る頃ぐらいからオナニーしていたこと、初めて射精したのは、朝の勃起のときで、夢から引きずり起こされるような感覚で気が付いたらパンツが濡れていたこと。そして次からはそれを自分でできるようになったこと。
私も、自分で触ることを教えてあげた。けれど、いったことはまだなかった。その頃は、触って気持ちよくなることが「いく」のだと思っていた。
不思議なことに、あきおくんとは気まずくなることは全く無く、むしろお互いの生理について知ったことでそれまで以上に優しく接していた。だから下校を共にすることもそれまで通りであり、別れ際にキスさえすることもあった。
1週間ほどして生理が終わると、私はすぐにあきおくんのことを意識していた。セックスしよう、と思った。
まだ週休二日制じゃなかったw土曜日、下校のときに私はあきおくんをうちに誘った。「ご飯食べたらうちにおいでよ」あきおくんは、すぐに返事をした。
私は、母が作っておいてくれたお弁当を食べ、シャワーを浴びた。あれから、アダルトビデオを見せてくれた友達に冗談交じりで「貸してよ」と言ったら本当にお兄ちゃんの部屋から1本持ってきてくれたので、それを1人でこっそり観た。
そこには、69があった。私は、衝撃を受けた。お互いのものを舐めあうなんて、なんていやらしいのだろうと思い、あきおくんとしたら気持ちいいだろうと思った。そのために、シャワーを浴びて待っていようと思ったのだった。
しばらくすると、あきおくんはうちに到着した。30分ほどゲームをすると、どちらともなくキスを始めた。そしてすぐに、お互いに裸になった。
挿入はせずに、肌の気持ちよさを確かめ合うように抱き合い、キスをし、性器を触りあった。私は、「ビデオを観よう」と提案した。「エッチなのあるんだ」と。
あきおくんは興味を示した。「エッチビデオって観たことある?」と訊くと「ない」と言った。私達は裸のままでビデオを再生した。そこには、大人の男女のセックスが前戯からフェラチオ、69、正常位での挿入、バック、そしてフィニッシュ、と様々な形で描写されていた。
私達は観賞しながら、時々ビデオを一時停止させ、「これやってみない?」と真似てみたりした。あきおくんが求めたのはやはりと言うか、フェラチオだった。
私はあきおくんのそれを気持ち悪いなどとは露ほども思わなかった。むしろ、そう頼まれるのを待っていた。私は、それを口に含んだ。「あ、やばい、気持ちいい…」あきおくんがため息を漏らすのを、私は心地良く思った。
「だめ、出るから」と、あきおくんは私の口からそれを離した。
次に、69をした。それが「69」という名前のついたものであるとはもちろん知らない。けれど私達はその行為がとても気持ちの良いものであることは知っていた。まず、あきおくんがクンニをしてくれた。「濡れてる…」あきおくんは「ぬるぬる」とは言わなかった。
後から聞いたのだが、あきおくんは私の生理の間、あきおくんの5歳年上のお兄ちゃんの部屋にあったエッチな雑誌を盗み読んではオナニーを繰り返していたらしい。そして、女の人のあそこを舐めるという行為についてその雑誌で知ったと言った。
私は、あそこを舐められることについて少し怖いと思っていた。なんとなく。しかし、それはすぐにかき消された。とても気持ちよかった。
くちびるとくちびるでさえあんなに気持ちいいのだ、あそこをくちびるで愛撫されるのが気持ちよくないはずがない。私は、クンニされながら身体を移動させ、あきおくんのものを口に含んだ。とても大きかった。
「入れよう」とあきおくんが言った。69は、実はすぐに終わった。あきおくんがまた、「だめ」と言ったからだ。
今思うと、このときにあきおくんはフェラチオでいくこともできたのだが、きっとお兄さんの雑誌ですぐいくのはかっこ悪いとでも学んだのだろう。ちゃんとセックスしていく、と言っていた。
私が「コンドームつけて」と言い、机の奥に隠していた箱を取ろうと立ち上がると、「俺持ってきたよ」とあきおくんはバッグの中から小さな巾着袋を取り出し、その中から本当にコンドームを出して見せた。
そして、包装を破り、私に背中を向けて装着した。途中、「見せて」と言ったが「だめ」と言って着けるところは見せてくれなかった。薄いピンク色になったあきおくんのそれを、私はとても可愛いと思った。
これも後から聞いたのだが、あきおくんは私と同じように自動販売機でコンドームを買い、2個ほど試し付けをしたそうなのだ。そして、その2回とも、着けたままでオナニーしたとも。
私は横になり、このときはためらうことなく足を開いてあきおくんを迎え入れた。
とても気持ちよかった。
ビデオは、バックの姿勢に移っていたが、私達は正常位のままであきおくんのフィニッシュを迎えた。
しばらく、脱力しているあきおくんを前と同じように私は抱きしめ、しばらく待っていた。あきおくんは身体を離し、コンドームのついたそれを抜いた。私は、コンドームの先に溜まっている液体を不思議に思いながら見つめた。
「こうなるんだ…」と口に出すと、あきおくんは「あんまり見ないでよ」と身体を向こうへ向けた。あきおくんはコンドームを外し、ティッシュにくるんで棄てた。
そして、「ふー」とベッドの上に横になった。私達は身体をくっつけあい、まだ整わない呼吸が収まるのを待った。あきおくんのそれは、また大きくなっていた。
「もう1回してもいい?」とあきおくんが訊いた。
私は、1日に何回もできるのかと驚いたが、「いいよ」と言った。「今度は、こうして」と、ビデオを巻き戻して、バックのところで再生した。あきおくんは「うん」と、また新しいコンドームを装着した。
私達はその日だけで3回した。
どの回も、あきおくんはすぐにいってしまっていたが、私は気にならなかった。早くいくことがださいとか、そんなことは知らない頃だ。それよりも、あきおくんとセックスできることが楽しくてしょうがなかった。
以来、私とあきおくんは週に1~2度はセックスする仲になった。けれど、恋愛感情と結びついていたかというと、今思うと疑問だ。しかし、その頃はお互いが必要だった。身体はもちろん、一緒に同じ時間を抱き合って過ごす相手がいることの精神的充足を感じていたからだと思う。
私にとって、あきおくんはかけがえのない存在であったし、あきおくんもまたそう感じていたのだろう。中学校に進学しても、そして別々の高校に進んでからも、私達のこの関係は、回数が減りこそすれ、崩れなかった。
その間、私達は一度も「好き」だとかの類の言葉は口にしなかった。その証拠に、私達は中学と高校、それぞれに彼氏・彼女がいた。しかし、その彼氏・彼女とは2~3度ほどしかセックスはせず、その代わりのように私達は身体を重ねた。
あきおくんとは、高校生になっても関係は続いていた。お互いに彼氏・彼女がいても、何とも思わなかった。
会いたくなったときに会い、話し、セックスする。そしてそこにはちゃんと愛情と思いやりが存在する、そんな関係だった。
ただ、それは「恋」でも「愛」でもなく、「愛情」だと私達は思っていた。異性に対する恋心とは違う、家族のような気持ち。私達は、そんな穏やかながらも不可欠な気持ちで結ばれていた。
小中学校とは違い、私達は別々の学校に通っていた。そのため、会える日が激減していた。それでも、自宅は徒歩10分ほどしか離れていない近所である。時間と親のいない隙を見つけては会い、抱き合っていた。
高校生になった私達は小学生の頃のようにゲームをしたりもしたが、一緒に勉強もした。私は理系、あきおくんは文系。お互いの不得意分野を教え合っていた。その日もテスト前ということもあり、机を囲んで勉強していたが、ふと、あきおくんがこう切り出した。
「今日は親も兄ちゃんも帰って来ないんだ。泊まって行けば?」
ご両親はお母さんのご実家に、大学生のお兄さんも彼女のところに入り浸っている、とのことだった。私は戸惑ったが、それ以上に嬉しかった。あきおくんといっしょに眠れる。断る理由があるわけがない。私はすぐに「いいよ」と言った。
すぐに、勉強を切り上げ、私は家に戻った。親に友達の家に泊まる、と外泊の許可をもらうためと、「お泊りセット」、つまり化粧水などのケア用品を持っていくためだった。
私達はあきおくんの家のキッチンで、中学生の頃、家庭科の調理実習で作ったハンバーグを一緒になって作り、夕食を済ませた。中学生のときの共有できる思い出があることが嬉しかった。
片づけを済ませると、私はお泊りが決まったときからずっと考えていたことを思い切ってあきおくんに言ってみた。「ねぇ、お風呂、入ろ?」あきおくんは、一瞬びっくりしたような顔をしたが、すぐに「エロいな~」といいながら
私を抱きしめてくれた。
そして、キス。
あきおくんは、初めてキスした小学生の頃からとても優しく私にキスをしてくれる。キスをしながら、あきおくんの手が私の服を脱がしていった。私も、あきおくんの服を剥いでいく。すぐに私達は裸になった。
湯船にお湯を溜めながら、私達はシャワーでお互いの身体を洗い合った。ボディーソープを泡立て、あきおくんは私のおっぱいに、私はあきおくんのあそこに塗りたくった。
「せっけんつけるとえっちな感じするね」「うん、すべすべするから…」最初はふざけあっていた私達だったが、だんだんと興奮していった。
この日の前にセックスしたのは、2ヶ月前だったので無理もない。「ねえ、あきおくんは彼女とエッチするの?」乳首を吸われながら、私は聞いてみた。あきおくんは唇を離し、「しないよ、なんか、そういう対象にならないっていうか」と言い、またすぐに私の胸に顔をうずめた。
シャワーが、浴室を湯気でいっぱいにしていく。「○○(私の名前)は?」今度はあきおくんが訊いてきた。「うん、するよ、たまに…」そのときの私の彼は、あきおくんも知っている男の子だった。
「そうなんだ。…なんか、やだな」あきおくんは私の胸の先を強く吸った。「あ…やだ、痛いよ」あきおくんが嫉妬しているのが分かった。「じゃあ、私達、付き合う?」私は聞いてみた。あきおくんは、私の身体から頭を離し、
私の顔をじっと見つめてきた。そしてうなずいた。
「聞いて。俺、○○のこと好きかどうかって聞かれたら分からない。ずっと一緒すぎて。でも、今の彼女も含めて他の女の子を好きにはどうしてもならないかも。○○とこうしてるのがいい。一緒にいるのがいい。それが付き合うってことなら、俺の答えは『うん』だよ。」
私は、あまりにもあきおくんが私と同じような気持ちでいたことに驚き、そして嬉しく思っていた。私も、あきおくんの存在が「好き」と言い表すことさえ難しいくらいに近すぎて、あきおくんとの関係に少し悩んでいた。そのときの彼氏と会い、セックスしてもあきおくんとの時間に比べればそれは大切な時間ではなかった。
彼とセックスするより、あきおくんとのセックスを思い出してオナニーをする方が良かった。
私は、あきおくんのこの言葉でそれまでのモヤモヤした気持ちが晴れた気がした。「私、あきおくんとだけエッチする。あいつとは別れる。あきおくんが大事。」私はそう言った。
すると、あきおくんが猛然と私を抱きしめてきた。
しばらくお互いの身体を抱きしめあい、キスを求め合う時間が過ぎた。あきおくんのあそこが、私のおへその辺りで固くなり、そして私も身体の中心が熱くなるのを感じていた。「ね…しよ?ここで、しようよ、エッチ」あきおくんが私の身体を半回転させた。
後ろからくるんだ、と私も分かった。「いいよ、でも、ゴムはつけて?ね?」「だめ、やだ、このまま繋がるの」あきおくんの動きは止められなかった。
私はマットの上に四つん這いの格好をさせられ、愛液で濡れて受け入れる態勢の整ったあそこにあきおくんの固くなったおちんちんをあてがい、挿入された。
あきおくんのおちんちんは、すんなりと入ってきた。
私は思わず声が出そうになったが、浴室はガラス窓の向こうにすぐお隣の家があるため、大きな声を出してしまうと聞こえてしまうと思い、「ん…っ」とガマンをして耐えた。「声、出してよ」あきおくんが言った。「だめだよ…聞こえちゃう…」私は顔だけあきおくんの方を向けてそう言った。
「出してよ…」あきおくんはわざと大きく腰をぶつけてくる。それも、ただのピストンではなく、角度を変えたり回してみたり、バリエーションをつけて。私は自分の手の甲を口に押し付け、声が出ないよう耐えながらその快感を味わっていた。あきおくんの大きな大きなモノ。
浴室で、くちゅ、くちゅ、と濡れた音が響いた。そして、あきおくんの「いやらしい音…」という囁き。
「もうイクよ?いい?ねぇ…」あきおくんの動きが速くなる。くちゅくちゅという音に加えて、あきおくんの腰がぶつかってくる、ぱんぱん、という肉の音。私は気が遠くなった。次の瞬間、あきおくんの腰が素早く離れ、おちんちんが私のお尻の上に置かれた。
背中に感じる、勢いのついたしずく。お尻の割れ目でびくびくと跳ねるあきおくんのペニス。はあはあという私達の息遣い。「○○…」名前を呼ばれ、後ろから抱きしめられた。
私はあきおくんに向き直り、湯船に半分ほど溜まったお湯を桶ですくい、あきおくんのペニスにかけてあげた。「もう…ちゃんとおふとんでしたかった」とすねて見せた。
「ごめん」今度はあきおくんが私の背中を流す。正確には、背中の精液を。「次は、ベッドでしよう」あきおくんが言う。私はもちろんうなずく。微笑み合い、キスをして、身体を洗いあう。湯船にもつかる。
一緒に風呂場を出て、お互いの身体をバスタオルで包む。
「服は着ないで、このまま部屋に行こう」
私達は小走りであきおくんの部屋に入る。さっき来たときよりもいくらか整頓されていた。私が泊まるということで、片づけたのだろう。そんなところがかわいいと私は思った。私は先に、あきおくんのベッドに潜り込んだ。
「化粧水と乳液つけさせて」持ってきたポーチを開け、手早く顔を整えた。あきおくんは物珍しそうにビンを手にとり、「俺もつけていい?」と自分の顔も手入れをした。私は笑った。
裸のままだった私達は、すぐにお互いを求め合った。ベッドの上で抱き合い、唇を重ね、性器を触りあった。「もう、こんななってる」私は再び大きくなったあきおくんのあそこを扱いた。
「おまえも」あきおくんは濡れた私のあそこを指で弄ぶ。「ねぇ、食べていい?」あきおくんが聞いてくる。「いいけど…電気、消して」私は、明るいまま足を広げられるのにまだ抵抗があった。あきおくんは、いつもなら毛布をかけてクンニをしてくれるのだが、この日は違った。
「消さない。」あきおくんは、電気は消さず、また毛布もかけず私の足首を広げた。私の中心が露になる。「やだぁっ。」私は太ももを閉じ、手で遮った。「こら。」あきおくんは強引に手を払いのけ、足をこじ開けた。そして、唇をつける。
「あ…っあああっ!!」つい、声が大きく出てしまった。「あれ?声、出さないんじゃなかったの?」あきおくんはより強く吸い付いてくる。
「やぁ…っ! やん…、い、いぢわるだよ、あきおくん…んんっ!!」
「んー?」あきおくんは、私のクリトリスを吸い、びしょびしょに濡れたあそこに指を入れ、くりくりとかき回してくる。「は…っ、あん、ああぁあ…」私の頭の中は制御不能になる。
「や…イク…やだぁっ、いっちゃうよぉ……」「いけよ」「やだあ…っああっ!!」私の快感は頂点に達する。腰が浮き、シャワーを浴びたばかりの身体に汗がにじむ。
あきおくんの動きがぴたっと止まった。どくん、どくん、どくん、と、私のあそこがあきおくんの指に鼓動を伝えているのがよくわかる。
はっ、はっ、と短い呼吸をして私は息を整えようとした。腰は、ぴくんぴくんと意に反してあきおくんの手に振動を伝える。あきおくんの指が、ゆっくりと身体から引き抜かれるのを感じた。
「んん…っ!」私はもう1度腰を浮かせてしまう。抜かれるときも感じてしまうのだ。「もぉ…こんなに濡らして。」あきおくんは入れていた指を私の目の前に持ってきて見せてくる。
あきおくんの右手の中指がつややかな光を放っている。「…1本だけ?入ってたの?」「そうだよ」「指1本でいかされちゃったの?」「そう」「こんな…明るいとこで…」「そう、全部、見てたよ」なぜか、私の身体に悔しさが満ちてくる。けれど私は何も言い返せない。
快感の絶頂後特有の心地よい疲労が私を支配していた。しばらく放心していると、あきおくんが私の顔の前におちんちんを持ってきた。それは、とても大きく張りを持ち、血管を浮き上がらせていた。
「今度は俺の、食べて?」
あきおくんのそれが、私の唇に触れる。私は少し頭を持ち上げ、口を大きく開ける。「ん…っ」大きい。すぐに私の口の中はあきおくんのそれでいっぱいになる。あきおくんがゆっくりと腰を動かし始めた。前に押し付けられる度に、のどの奥に当たって少し苦しい。
それでも、あきおくんの根元には唇は届かない。全部を口に含むことは無理なのだ。そのことをあきおくんもわかっているのか、6~7分目ぐらいで止めてくれる。「おいしい?ねえ…」あきおくんが言う。「ん…」私は少しだけうなずいてみせる。
実際、あきおくんのおちんちんはおいしい。食べていると、それがとてもいとおしいものに思えて幸福な気持ちになれるのだ。だんだんと、あきおくんの腰の動きが速くなってくる。苦しい。私はあきおくんの腰に手を当て、動きを静止した。
「ごめん、きつかった?」あきおくんが慌てて私の顔を覗き込んでくる。
「うん、ちょっと。ごめんね」
けれど、私は嫌な訳ではなかった。できるなら、このままイってほしかった。「ね、今度はこっちに、きて?」あきおくんを心配させまいと、私はあきおくんの手をとり、私の濡れたところへ持っていった。
「こっちの方が、気持ちいいよ」「うん、入れる」あきおくんは、今度はコンドームを取り、すばやく自分で装着した。「入れるね?いい?」「…ん、いいよ…」私は足を開き、あきおくんを受け入れる。
あきおくんの先端が私の入り口に触れた。私はいつもこの瞬間、嬉しい気持ちで一杯になる。しかしその気持ちを味わうことは本当に一瞬で、すぐに快感が勝り押し寄せてくる。
「んん…っ!」さっきイったばかりのせいか、私のあそこは、きゅんときつくなっていた。「ほらぁ、またこんな締めて。力抜いて、俺すぐいっちゃうよ。」「締めてないよぉ、締まって…るの…おっ!あっ!ああぁっ!!」あきおくんはこの日、やっぱりちょっといじわるだった。強引に侵入してくる。
「…全部、入ったよ、ほら」あきおくんが私の手を、その接合部分に導いた。
私のあそこは大きく口を開け、あきおくんのそれを受け入れていた。思わず、ひくん、と反応してしまう。「あ。ほら、締めるなって」あきおくんがゆっくりと動き始めた。
「ほんと、エッチな身体なんだから」「もぉ…そんなこと言わないで…あぁ…っ!」
「ん?どんなこと?」「なんか変…だよ…あきおくん…んんっ!!い…いじわる…!」
「いじわる?どうして?こんなに気持ちよくしてあげてるのに」「や…あん…んっ!」
あきおくんの動きが速くなっていく。私の胸も大きく震える。そのとき、あきおくんが私の頬にくちづけながら囁いた。私はこの言葉を一生忘れないだろう。
「ねぇ…○○…言わせて?これだけ。……好きだよ…?」
「…んっ!」今までに感じた快感とは別の物が私の身体を貫いた。
そう、初めてあきおくんとキスをしたとき、こんな感じじゃなかっただろうか。身体に与えられる物理的な快感ではない、精神的な充足感。私は、このとき初めて「イった」のだ。
遠くであきおくんの声がする。
「あ、俺も…イきそう…いく、ね…?」
あきおくんのおちんちんが深く突き立てられ、あきおくんの動きが止まる。
肩で息をしながら崩れてくるあきおくん。けれど私はいつものように抱きとめてあげる余裕がない。ただ、脱力。
私たちはしばらく荒い息が整うまで空気を貪る。けれど私には、強烈な睡魔のような抗えない何かが襲いかかってきていた。
セックスの後、気を失ったのはこれが初めてだった。
しばらくして私が目を覚ましたとき、あきおくんは眠っていた。私たちは下着だけ履いていた。あきおくんが履かせてくれたのだろう。話は省略するが、このあと、あきおくんが目覚め、「好き」と言ったことについて私はどう思ったかと訊かれた。そして、とても嬉しかったことを伝え、やはり私たちはちゃんと付き合おうと誓い合い、今付き合っている相手にもちゃんと別れることを言うと宣言しあった。
この日のセックスが、これから後、現在に至るまでの私たちの関係を決定づけた。あきおくんと私は、それぞれの恋人と別れた。あきおくんの彼女さんはけっこうすんなりと別れを受け入れたらしい。
けれど、何回か身体の関係があった私の彼はなかなか納得してくれなかった。しかし、私の気持ちは固かった。あきおくんは好きだと言ってくれた。そして、私もあきおくんを好きだという自覚が芽生えていた。高校1年の秋だった。
晴れて正式な恋人同士となった私たちは、初めてのデートに行った。それまで、2人で街を歩いたりしたこともあったが、映画を観ようだのデートスポットに行こうだのはそのときが初めてだったのだ。あきおくんは、私の手を引いてくれた。
手をつなぐだけで、私の胸はときめいていた。あきおくんを好きになってよかった、そう思っていた。私をあきおくんの友達に紹介してもくれた。高校でのあきおくんの新しいお友達。彼らに紹介されるということに、こんなにも愛情を感じるとは思わなかった。
ある日の学校帰り、駅近くであきおくんとばったり会った。私たちは学校まで同じ電車で通い、同じ駅で降りていた。けれど、あきおくんは剣道部、私は茶道部(生徒達の溜まり場だった和室が気に入ったのでw)に所属していたため、放課後一緒に帰ることなんかめったになく、本当に偶然の出来事だった。あきおくんは、学校の友達数人と一緒だった。
「○○ちゃんじゃん!」最初に声をかけてきたのはかずやくんという友達だった。彼らは、カラオケでも行こうと話していたらしい。「けど男ばっかって色気ねーから誰かクラスの子でも誘おうかって言ってたの。○○ちゃん行かない?」と私も誘われた。そして、私の友達も呼んで、と頼まれた。
あきおくんの友達で、彼女がいない男の子は「頼むよ~」と必死だったので、私はなんだか楽しくなった。PHSで友達数人にメールを送り、「空いてる子は来ると思う」と私たちはカラオケボックスに入った。
しばらくするとメールの返事が来て、女友達2人が連れ立って来るとのことだった。私はカラオケの入り口で待ち合わせるために1人ボックスを出た。すると、あきおくんが追ってきた。
「ん?どうしたのあきおくん?」「トイレ、行かない?」私はすぐにその意味が分かった。2人でトイレに行くなんて、することは1つだ。「だめだよ、もうすぐ友達くるもん、怪しまれちゃう」「ん?何を?○○、何考えてるの?
「何って…」「エッチなこと考えてるの?バカ、ちょっとちゅーってするだけなのに」私は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。
そうだ、2人で個室に入るからといってセックスするとは限らない。あきおくんは、キスをしたいだけ、と言った。私はあきおくんとトイレに入った。平日のからおけはガラガラだった。トイレでキスをしていても、足音さえ聞こえてこない。「もう…行こ?」私は顔を離して言った。「うん…でも…」あきおくんは私の手をあそこに持っていった。
「俺、こんななっちゃった」あきおくんのそれは、制服のズボンを持ち上げ、大きく固くなっていた。「あ…」けれど、私もパンツを濡らしていることはわかっていた。身体の中心が急速に熱くなった。
「けど…待たせちゃうから…」私はあきおくんをなだめようとしたが、きいてくれない。「やだ、したい、ここで。ね?」あきおくんの手が私の制服のスカートをめくる。逆の手が、セーラー服の上着の前を留めているスナップボタンをプチプチと器用に外す。私のキャミソールとブラジャーに覆われた胸が露になる。あきおくんはブラの上の部分をめくり、乳首に吸い付いてた。
「あぁ…っ」そうしている間にも、あきおくんの指がパンティの中に侵入してくる。私のクリトリスが弄ばれる。「もう…○○だってこんななってるじゃん。すっごい濡れてる」「だめよ、こんなとこで…」あきおくんは聞いてくれない。
あきおくんはポケットにあった財布からコンドームを1つ出し、手早く着け、「入れるよ?」と囁いた。あきおくんのそれは、ズボンのチャックから大きくそそり立ち、びくびくと跳ねていた。あきおくんの制服は私の高校と違いブレザーだった。あきおくんは上着を脱ぎ、私の右足を大きく持ち上げた。
あきおくんは、私のパンティのクロッチ部分を指で片方へ寄せ、そこへ入れてこようとした。しかし、指が邪魔なのとパンティと擦れてしまうのとで断念した。
「脱いで」あきおくんは私のパンティを下ろした。
私は、あきおくんのそれがあそこにぶつかったときの快感で、最後までいきたいと思うようになっていた。だからもう、素直にあきおくんの指示に従い、自ら足を上げてパンティを脱ぎ、腰の高さより少しだけ上にあった洗面台に座り、足を開いた。
「きて?あきおくん」私はあきおくんを抱き寄せ、挿入を促した。あきおくんが入ってくる。私は押し寄せる快感に耐え切れず、両手を後ろについた。洗面台に腰掛けた私のそこは、あきおくんのものが入るのに丁度いい高さにあり、また十分に濡れていたため、無理なく入ってきた。
「ん…」私たちは息を漏らす。声はもちろん出せない。そしてここはトイレ。いつノックされるかわからないというスリルも手伝い、私はすぐに快感の山が訪れた。
「…っ…んん…っ!」あきおくんのピストン運動が速くなる。接合部分は、制服のスカートが覆っているので私からは見えなかった。しかし、あきおくんは制服のシャツとネクタイ、私はセーラーを羽織っている、という2人の格好が
なぜか背徳感を持って私の視界に迫ってきて、ますます興奮していく自分を感じていた。
ふと、あきおくんが動きを止めた。
「…?」どうしたのだろうと思いあきおくんの顔を見上げると、あきおくんはペニスを引き抜いてしまった。イってしまったようには思えない。訳がわからないままに私は洗面台から降ろされ、代わりに回れ右をさせられた。大きな鏡に映った自分と目があう。
そうこうしている隙に、あきおくんは再びスカートをめくり、今度は後ろから入ってきた。バックからきたかったのか、と思い、あきおくんの一連の行動に納得できた。「ん…ふ…っ」声を出すまいと顔が歪んでしまう。そのとき私は初めて気がついた。
洗面所の大きな鏡に、自分の顔が、はだけた胸が、いやらしい姿で突かれている身体が、全て映し出されていた。
「かわいい…いつも、こんなかわいい顔でしてるんだよ?」あきおくんが言う。けれど私は見られない。目を固く閉じた。「せっかくこんなエッチな格好してるのに…」あきおくんの動きが急激に速度を増す。
後ろから揺さぶられ、バックのときのぱんぱん、という音が響き、外に聞こえてないだろうかと気が気でない。けれど、快感を無視することもできない。「あ…イク…イクよ…」あきおくんの動きが、いつものイク直前の動きにシフトした。
この動きには私も弱い。「あたしも…っ」あごがのけぞる。身体の中心が快感に震える。あきおくんが最も深く突き上げてきて、そこで果てるのを感じた。
どくどくと身体の中でおちんちんが鼓動している。それを受けて、私もひくんひくんと痙攣していた。「…っはぁ、はぁ、はぁ」個室に、私たちの呼吸だけが響く。遠くで、カラオケの音楽が聞こえる。そこで、ここがカラオケだったとふと気づいた。
あきおくんのそれが抜かれ、私たちは顔を見合わせて苦笑した。「も~こんなとこで~」「しょうがないじゃん、エッチな気持ちになったんだから」私はあきおくんのおちんちんを拭いてあげ、あきおくんも私の愛液を拭ってくれた。
「こんなにぬるぬる」あきおくんは私に見せてきた。「もうっ、急がなきゃ」私はセーラーを整え、パンティを履き、あきおくんも制服を着なおした。私たちがカラオケの入り口に行くと、友達2人はちょうど到着したところだった。初めて利用するカラオケだったので、場所がわからなくて少し迷っていたそうだ。
私たちはほっと胸をなでおろし、彼女たちをボックスへ連れて行った。
あきおくんは後日、鏡の前でのセックスはとても燃えたと言っていた。私はずっと目をつぶっていたのでわからない、と言うとじゃあこれから鏡の前でしようと、姿見の大きな鏡をベッドに持ってきてセックスした。
繋がっている部分を見ながらのセックスは、私たちがとてもいやらしい生き物のように思えてすごくすごく燃える。
ーーー
今、私達は大学生である。
お互いに地元を離れ、それぞれの場所でまた新しく恋人を作っている。あきおくんとは、電話もメールもしない。ただ、正月や長期休みなどに「今度実家に帰るけど、そっちは?」という短いメールを送りあう程度だ。
そして会い、当然のようにセックスする。
さすがに、この歳になって家に呼ぶのは親の目が気になるので、専らホテルで会う。そして、何度も何度も、セックスをするのだ。その合間に大学のことや共通の友人の話題に花を咲かせ、話が尽きたらまたお互いを求め合う。
そんなつきあいを、あきおくんとしている。