布団を敷いてくれる仲居さんの色濃さを見つめていた。早川は敷かれた寝床に浴衣姿で横たわった。横にいる敏江も抱かれることを期待していると思う。テレビをロマンポルノ「ピンク番組」に切り替えてそれを敏江に見せようと、スイッチを入れたが、敏江は「嫌らしい。切って…」と云う。静かに抱かれたいのだろう。テレビを切ると、部屋は行燈だけの薄暗い部屋になった。早川は、敏江に両足を伸ばさせ、軽く拡げさせた。浴衣の裾に乱れる敏江の熟れた柔肌と太腿が怪しい花となって行燈の灯に照らされている。敏江を抱きかかえると、敏江は「持ってきたの…?」と聞く。コンドームのことだ。「うん…」と答えると敏江の顔は安心した表情に変わった。「スタンドも切って…」という。静かに暗闇の中で夫の愛を受けたいのだ。行燈のスイッチを切ると部屋は真っ暗になった。暗闇の中で柔肌の敏江を抱き締め右手で浴衣の前を割って乳房に触れる。乳房を揉みながら浴衣の裾を拡げると、太腿が浴衣からはみ出して、黒い毛で覆われた陰部の丘に触れる。早川が軽く指でそれを突くと、花園はうっすらと露を含んできた。敏江は受け身だった。夫の愛撫の全てを素直に受け入れようとしている。敏江は、夫にされるままさまざまの体位に変えられて性器の結合を楽しんだ。そっと行燈をともすと、その薄暗い灯りの中に敏江の顔の表情が、穏やかに快楽に向かっての表情になっていた。頂上が近い。敏江を強く抱き締め、もう限界だ…ということを悟らせた。敏江が夫に強く抱きついてきた。夫に遅れずに達しようとしているのだ。ついに果てた…。二人は、温泉宿での性交に身も心も満足し、気分安らかな眠気におそわれた。翌日、数年前に一度訪れた畳が浦海岸で日本海の荒波を二人で見つめる。そこには、昨夜の性で満ち足りた艶めかしい敏江の妖艶な姿があった。
