俺には、中学の時からの友人がいる。通っていた学校は、私立の中高一貫教育の男子校で、いわゆるお坊ちゃまみたいな草食系のヤツばかりの学校だった。
友人の典明もそんな感じの男で、それなりに名の通った企業の社長の次男坊ということで、ザ・お坊ちゃまという感じの男だった。
たまたまビリヤードが好きという共通項のため、典明とはすぐに仲良くなり、今に至るまで友人関係が続いている。今年30歳になった俺達だが、典明は今年結婚し、俺は独身という感じで人生それぞれという感じだ。そんな中、典明にとんでもないお願いをされた。
典明は、三ヶ月前に結婚したばかりの嫁と、セックスをして欲しいと言ってきた。俺は、意味がわからずに、「セックスって?」と、聞き返してしまった。典明は、生真面目な性格の通り、セックスという言葉の意味を説明してきた。
「いや、それはわかってるけど、オマエなに言ってんの?」
俺は、理解が出来ずに質問を繰り返した。
典明の嫁さんは、26歳のメチャクチャ可愛い女の子だ。小柄で童顔という、ロリなイメージのする若妻さんだ。正直、羨ましいと思うくらいに可愛いと思う。じぇじぇじぇと言っていた女優さんに似ている感じのルックスだ。
典明は、その嫁さんとセックスをして欲しいという事を繰り返した。俺は、ビックリしながらも、なんとなく理解し始めていた。典明は、昔から女性に対して独占欲が強いタイプだった。焼きもち焼きというか、心配性が激しかった。
多分、嫁さんが寝取られるところを見てみたいという事なんだと思う。でも、それにしても早すぎるなと思った。
「結婚してまだ三ヶ月だろ? そう言う事するには早すぎるんじゃないか?」
俺は、そんな意見を言ってみた。
「いや、新婚の時だからこそしたいんだ。逆に、遅すぎるくらいだよ。本当は、結婚式の夜にしたかったんだ」
彼は、淡々と言う。高ぶったところもなく、恥ずかしそうな感じもない。こんな事を、フラットな気持ちで言えるのが彼の凄いところだと思う。
「そういうもんか……。でも、なんで俺なんだ? 知り合いじゃない方が良くないか?」
俺は、そんな事を言った。別に、イヤなわけではない。むしろ、里奈ちゃんとセックス出来るのなら嬉しいと思う。でも、セックスをしたことで、その後に気まずくなるのもイヤだ。
「オマエだからだよ。信用出来るし、なによりも里奈ちゃんが気に入ってるんだ」
典明は、そんな説明をしてきた。でも、俺はなにを言っているのだろう? と、思った。
「気に入ってるって、結婚式の時に挨拶しただけじゃん」
俺は、あんなに大勢がいた結婚式で、挨拶しただけで気に入るもなにもないと思った。
「それだけで、気に入ったんだって。一目惚れみたいな感じじゃないかな?」
典明は、淡々と言う。自分の嫁が、他の男に一目惚れしたなんてよく言えるなと思う。彼の説明だと、俺のルックスがストライクだそうだ。でも、俺はイケメンというタイプではない。彫りは深いが、濃すぎるとか、外人か? 等と言われたりする感じだ。
「じゃあ、OKって事で良いな?」
典明は、俺の返事を聞く前にそう言った。でも、俺としても異存は無く、黙ってうなずいた。
そして、5日後、俺は典明の家を訪ねた。彼の家は、都心の一等地にある低層マンションだ。マンションなのに室内に階段があり、専有部分が2階建になっている。そんなマンションは、アメリカのドラマでしか見たことがない。
金の心配も無く、可愛い嫁さんもいるのに、なんでこんな事をしようとしているのかな? と、理解に苦しむ部分がある。
『こんにちは。久しぶりですね』
笑顔で出迎えてくれる里奈ちゃん。結婚式の時と違い、ナチュラルなメイクなのでより幼く見える。下手したら、未成年に間違えられるんじゃないかと思う。白の清楚な感じのブラウスに、膝までのスカートを穿いている彼女は、若妻と言うよりは典明の妹という感じだ。
俺は、少し緊張しながら挨拶をし、部屋に上がった。広い室内に、高そうな調度品が生活の余裕を感じさせる。照明も家具も、どこかで見たようなものばかりだ。デザイナー家具と言うのだろうか? ホテルや高いレストランで見るようなヤツだ。
どんな展開になるのだろう? と、緊張していたが、まずは食事が始まった。里奈ちゃんの手料理は、ちょっと薄味かな? と、思ったが、どれも美味しく、俺の緊張も解けていく。
ただ、さっきから会話がごく普通の世間話や昔話ばかりで、本当にこの後セックスをするのかな? と、疑問に感じるような雰囲気だ。もしかして、典明にからかわれている? と、感じ始めていた。
『どうして彼女いないんですか?』
里奈ちゃんは、にこやかに聞いてくる。確かに、俺に好意を持ってくれているのは伝わってくる。俺は、バイクやフリークライミングが趣味なので、なかなか理解を得られないと言った。
『どっちも、格好いいのになぁ。翔さんがフリーだなんて、もったいないと思います』
里奈ちゃんは、そんな風に言ってくれる。こんな風に、わかりやすく好意を向けられると、悪い気はしない。
典明は、
「里奈は、翔のこと好きだもんな。一目惚れしちゃったんだろ?」
と、落ち着いた口調で言う。
『そ、そんなことないよ! 変なこと言わないでよ~』
慌てる里奈ちゃん。頬が赤くなっている。恥じらう姿も、本当に可愛い。
「だって、いつも言ってるじゃん。会いたいって」
典明は、真剣な顔で言う。
『う、うん。それはそうだけど……。でも……恥ずかしいよ』
里奈ちゃんは、耳まで真っ赤にしている。俺は、その仕草を見て思わず勃起してしまった。
「恥ずかしいって、この後エッチするのに恥ずかしがってちゃダメでしょ」
典明は、やっぱり感情の起伏のない声で言った。
『……うん。でも……本当にするの?』
里奈ちゃんは、明らかに動揺してる。俺は、もしかして嫌々なのかな? と、感じてしまった。心配になってやめようか? と、聞くと、
『だ、大丈夫です。翔さんこそ、イヤじゃないですか?』
と、逆に質問されてしまった。俺は、そんなわけないよと答えながらも、新婚の若妻を他人に抱かせようとしている典明に、今さら驚いてしまった。
「じゃあ、始めようか。いきなりは緊張するだろうから、そこで軽くイチャイチャしたら?」
と、リビングのソファを指差す典明。さっきまで恐ろしく冷静だった彼が、声をうわずらせている。興奮している? 俺は、判断に迷う。
里奈ちゃんは、緊張した顔でリビングに移動した。俺も後を追い、一緒にソファに座った。
「なんか、緊張しちゃうね」
俺は、緊張を誤魔化すようにそう言った。
『は、はい……。どうしたらいいですか?』
里奈ちゃんは、俺と典明を交互に見ながら質問した。典明は、
「お前に任せるよ。俺、ちょっと隣に行ってるから、気にせずにな」
と、言って、リビングのドアから出ていった。隣がどうなっているのかは、よくわからない。でも、彼が居なくなって少し緊張がほぐれた。
『ホント、変なことお願いしちゃって……ごめんなさい』
里奈ちゃんは、申し訳なさそうに言う。俺は、全然変なことじゃないと言った。むしろ、メチャクチャ嬉しいと言ってみた。
『本当ですか? 私みたいなおこちゃま、抱いても嬉しくないですよね?』
里奈ちゃんは、そんな風に言う。こんなに可愛いのに、自己評価が低いことに驚いた。そう言えば、彼女はずっと女子校だったと聞く。あまり派手に遊んでいた感じはないので、男性経験がとても少ないのかもしれない。その事を聞くと、典明が初めて交際した男性だそうだ。
「い、いいの? アイツしか知らないんなら、そのままの方が良い気がするけど」
『……彼の希望だから。それに、私も他の男の人に興味もありますし……』
歯切れの悪い彼女。俺は、これ以上困らせても仕方ないと思い、彼女を抱きしめてみた。
すると、彼女は身体を硬直させた。緊張しているのがよくわかる。そして、抱きしめたことで、意外に胸が大きいことに気がついた。俺は、どうしようかと迷ったが、いつも通りにとりあえずキスをした。
唇が触れる瞬間、さらに身体が硬直した彼女……。でも、唇はものすごく柔らかく、プルプルだった。
しばらくは、唇を押しつけているだけのキスをしていた。それでも、こんなに可愛い子とキスをしているということだけで、興奮がメチャクチャ高まった。
そして、我慢出来ずに舌を差し込んでみた。抵抗のない彼女……。俺は、いつも通りに舌を絡め、濃厚なキスを続ける。すると、彼女の小さな舌が絡みついてきて、ぎこちなくキスをしてくれる。
「キスしちゃったね」
俺は、興奮しながらそう言った。
『は、はい。キス、上手なんですね……』
彼女は、うわずった声で言う。潤んだ瞳で見つめる彼女に、俺は興奮してまたキスをした。すると、唇が触れた瞬間、彼女の舌が飛び込んできた。そして、積極的に俺の舌に舌を絡ませてくる。
俺は、興奮しながら舌を絡ませ続けた。
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