俺の名前は柴田純平。高校生だ。
俺は昔から運動が嫌いだ。苦手ではないんだが、なんか性に合わない。
そんな俺が入った部活は生物部。もともと俺は生き物が苦手だったんだが、生物部の顧問の先生が好きで、担任の先生にも勧められたから生物部に入った。
そんな俺の隣の席のやつは金井明子という女だ。この人はポニーテールが似合う美人で、同年代の女子の中ではかなり背も高く、167の俺とほぼ同じぐらいの身長だ。
運動神経もよく、バスケ部所属で、幼少期から空手を習っていたとか。
一目見てわかる。こいつは俺とは合わなそうなやつだ。
まあそんなこんなで、あの人とは付かず離れずでやってきた。
そんなある日、俺は見てしまった。金井さんのブラジャーが制服のシャツに透けて見えた。うちの高校は女子はシャツの上にニットベストを着るやつが多いんだが、彼女は動くのが好きだからシャツだけで来ることが時々あった。
「こいつ、シャツの下にインナー着てないのか…。」
このころは、好きでもない女のブラジャーだったから、正直何とも思わなかった。
そんな俺があの人と最初に関わったのは1年の時の球技大会。俺が招集されたバレーのチームは、俺を含めた地味な男女、今でいうと陰キャ連中だったが、先生の意向で金井さんが配置された。
「皆、本気出しな!優勝狙うんだよ!」
金井さんの檄を受け、みんなは返事をした。俺みたいに適当な返事で済ませた奴もいれば、そうではない奴もいた。
結局俺たちのチームは一回戦で負けてしまったけど、ある程度点を取ることはできたよ。
試合の時、俺は思ったよ。
「金井さん、カッコいい…憧れる…」
会場から家に帰るとき、金井さんでシコることを考えたのは言うまでもない…。
それからの学校生活は天国だった。いやいついかなる時でもオナニーのことしか考えられない、ある意味地獄だな。
昼は席の隣があの人で、思いを伝えようと悶々とする。だけど結局いつも恥ずかしくて告白できない。
疲れて家に帰ったら夜中にあの人のことを考えながらオナニーする。
俺は金井さんに惚れてしまった。だけど俺とあの人は不釣り合いだ。結局、告白するのを諦める。
もう俺、どうしたらいいかわからねぇ…。
そうだ、告白しよう。玉砕覚悟で金井さんに告白しよう。そう決めた時、俺は夜眠れず、オナニーをずっとしていた。
そうこうしているうちに、気づいたら午前一時。金井さん、あんたのせいでオナニーが捗って眠れねえよ。
そして迎えた運命の日。決行日は金曜日になった。当時はスマホも携帯もない時代だったから、噂が流れることもないだろう。そう考えた。
昼休みに告白しようと思ったが、5時間目の自由な雰囲気の数学で、その時間の雑談に告白した噂が流れるのを恐れて避けた。もっと言うと6時間目は体育だ。着替えの時とかにイジられるかもしれないから、六時間目の終わりと掃除の時間も避けた。あの日は授業なんて全く耳に入らなかった。先生も俺を当てなかった。
駐輪場。なぜかみんなもう自転車を体育館の入り口に運んでいて、駐輪場にいたのは俺と金井さんの2人きりだった。
告白しよう。
「あ、あの…金井さん…僕…金井さんのこと…好きなんです…」
(よし、言い切った!告白できたぞ!想いは遂げられた!もう今死んでもいいよ。いや生きたい…)
「…柴田くん私のこと好きだったんだ。嬉しいな。でもごめんね。もう時間ないし、部活行かなきゃ」
「あ、ありがとうございます…」
無事告白した俺は、嬉しくて嬉しくて、早く彼女でオナニーしたい、そう思いながら家に帰った。
翌日から、俺は金井さんに積極的に関わるようになった。休み時間もあの人と一緒にいたりしていた。クラスで「あいつ、金井のこと好きなんだろうな」と思われたかもしれない。
水曜日、部活帰りに金井さんとすれ違い、話しかけられた。
「今週の放課後、一緒にどっかいかない?」
俺は舞い上がって、「金曜日部活早く終わらせて行くから」と約束してしまった。
そして迎えた金曜日、俺は金井さんに「水曜日の約束、果たしてくれるよね?」と言われた。
俺は正直、気まずかった。だって他の同級生のやつらに見られたら間違いなく俺は終わる。だから隠密行動だ。
だけど、向こうはそんなこと気にしてなかった。俺は金井さんに誘われるがままに行ったのは駅のホームだった。
「ここ、一番人目に付くところじゃねえかよ…」
「いいじゃないよ。見られても」
「いやクラスメイトに見られたら恥ずかしいんだよ…」
「何?女子と一緒にいるの見られると恥ずかしいの?」
「…」
「あ、あの…金井さん…いや、明子さん…僕、あなたのこと…あなたのこと好きって言いましたよね…」
「でもごめん…私あなたのこと恋愛対象には見てないんだ…」
「そ、そうですよね…」
「だから、友達として付き合っていこうね」
「え…
(俺みたいなやつと仲良くしてくれるの…)
あ、ありがとうございます…」
「もう4時30分じゃん、一緒に帰ろ?」
「う、うん…」
(やったぁ!好きな子と一緒に帰れる!こんなに幸せなことはない…。)
俺と明子さんは線路前で別れた。好きな子と一緒に帰れるって、こんなに幸せなんだなぁ…。