「フフ、ありがとう。直道さんだけですよ、そんなこと⾔ってくれるの」
妻の涼⼦が、嬉しそうに笑いながら俺の友⼈の直道に⾔った。今⽇は、うちに直道が遊びに来
ている。直道は、⼤学の時の友⼈で、28歳になって社会⼈になった今も、こうやってたまに遊んで
いる。
妻の涼⼦は、24歳でけっこう年下だ。近所のカフェで働いていて、⼀⽬惚れした俺が頑張ってア
タックした末に、交際に⾄った。
付き合い出してから半年で結婚し、すでに半年が経った。俺が⼀⽬惚れしたくらいなので、ル
ックスは申し分ないし俺好みだ。
パッチリした⼆重まぶたに、ショートカットの髪。今どきの若い⼥性にしては珍しく、真っ黒で
どこかボーイッシュな感じも合った。
160センチ弱で、痩せた⾝体。胸も⼩ぶりだが、⼿⾜が⻑い。なによりも、真っ⽩な肌が彼⼥を
輝かせているように感じる。
これだけ可愛いのに、男性とちゃんと交際したことはなく、俺が初めての彼⽒だった。付き合
ったことがなかった理由は、告⽩されたことがなかったからだそうだ。
たぶん、可愛すぎて男性の⽅も腰が引けていたのかもしれない。なんにせよ、とてもラッキーだ
ったなと感じている。
「いや、なんでそうなるの? 涼⼦ちゃんが可愛くなかったら、誰が可愛いって話だし」
直道が、あきれたように⾔う。涼⼦は、控えめを通り越えて、⾃⼰評価が低い……低すぎる。⾃
分が可愛いと思っていないようだ。
「そんなのいっぱいいるよ! 私なんて、どこにでもいるもん」
⽿まで⾚くしながら照れる涼⼦……。やっぱり、本⼼からそう思っているみたいだ。
「いないって。いたら、速攻アタックしてくるよ」
直道は、笑いながら⾔った。すると、その⾔葉にすらさらに顔を⾚くする涼⼦……。
「直道さんは、どうして彼⼥作らないんですか?」
涼⼦は、話を直道に切り替えた。確かに、ここ2年くらい彼⼥がいないみたいだ。
「作らないんじゃなくて、出来ないの。ふられてばっかりだよ」
直道がおどけて⾔う。そんな話も、初めて聞いた。直道は、ルックスも性格も良い⽅だ。会話も
⾯⽩い。モテない要素はないと思う。
「そうなんですか!? 意外です。どうしてだろう? 直道さんが好きになってくれたら、喜んで
付き合うと思うけど……」
涼⼦は、直道を褒める。⾃分のことをよく褒めてくれるので、社交辞令として⾔っている……そ
んな感じではない。
涼⼦は、本⼼から直道を良い男だと思っているようだ。
「マジで、じゃあ、涼⼦ちゃん好きだから付き合ってよ」
直道は、珍しくふざけている。普段は、あまり悪ふざけは⾔わない感じだ。
「えっ? 本当に好きですか?」
涼⼦は、流さずに真⾯⽬な顔で聞いた。俺は、涼⼦の意外な態度にドキッとしている。
「う、うん。涼⼦ちゃんがフリーだったら、ほっておかないよ」
直道は、予想外のリアクションだったせいか動揺している。
「嬉しいな。そんな⾵に⾔ってくれて」
涼⼦は、本当に嬉しそうだ。この態度が、魔性の⼥に⾒えてしまってドキドキする。
「マジで可愛いもん。涼⼦ちゃんの友達で、フリーの⼦とかいないの?」
直道は、話を変えた。
「いますよ! 紹介しましょうか?」
涼⼦は、あっさりとそんなことを⾔う。確かに、涼⼦は友⼈が多い。年齢的には、まだ未婚の友
達も多いはずだ。
「マジで? 紹介してもらえたら嬉しいよ」
そんな会話を続ける⼆⼈。なんとなく疎外感を感じてしまった。
直道が帰ると、
「フフ、直道さんって褒めるの上⼿だね。優⼦紹介しようかなって思ってるよ」
と⾔ってきた。優⼦ちゃんは、何回か会ったことがある。涼⼦を迎えに⾏ったときに挨拶をした
とか、その程度の⾯識だが、ちゃんと覚えている。
確か、髪が⻑くておとなしそうな⼦だった。涼⼦とは違って、キリッとした美⼈系の⼥性だった
と思う。
俺は、いいねと⾔った。でも、それこそ優⼦ちゃんに彼⽒がいないことにも違和感を感じた。
それを聞くと、
「うん。ちょっと前に別れたんだ。彼⽒に浮気されて。直道さんだったら、浮気とかしなさそうだ
し」
と答えた。確かに、直道は真⾯⽬だ。浮気をするタイプとは思えない。
その夜、涼⼦が抱きついてキスをしてきた。珍しい。いつも、俺の⽅からモーションをかけて始
まることがほとんどだ。
「ケンゾー、私のこと可愛いって思ってる?」
涼⼦が、はにかみながら聞いてくる。俺は、もちろんだと即答した。
「あんまり⾔ってくれないよね……」
涼⼦は、少し寂しそうだ。俺は、慌てて可愛いよと⾔った。ニッコリと嬉しそうに笑う涼
⼦……。俺は、愛おしい気持ちでキスをした。
涼⼦とのセックスは、少しだけ不満というか、もっと声を出したりして欲しいと思っている。恥
ずかしがりなので仕⽅ないが、それにしてももっとリアクションが欲しいなと思ってしまう。
そして、2週間ほど経過して、直道に優⼦ちゃんを紹介する⽇が来た。俺はお留守番だ。帰宅し
た涼⼦に話を聞くと、良い感じだったそうだ。
1時間ほどで涼⼦が席を⽴ち、後は⼆⼈に任せたと⾔うことだったみたいだ。
翌⽇、直道から連絡があった。お礼を⾔われた。優⼦ちゃんが想像以上に美⼈だったので、かな
りテンションが上がったと⾔っていた。
ただ、1ヶ⽉ほど経って、結局上⼿く⾏かなかったと涼⼦から聞いた。どうやら、優⼦ちゃんの
⽅がちょっと違うと感じたそうだ。
「なんか、悪いことしちゃったな……。優⼦、どっちかというとクズ男が好きなだよね。直道さ
ん、優しすぎるから」
涼⼦は、そんな説明をした。確かに、直道は真⾯⽬だ。スペックも⾼いと思うが、それが優⼦ち
ゃんにはハマらなかったみたいだ。
俺は、なんとなく責任を感じてしまった。涼⼦も同じみたいだ。直道を⾷事に誘って家に招い
た。
「⼤丈夫だって。全然平気だから」
直道の⽅が、そんな⾵に気を遣って⾔った。意外に元気そうで安⼼したが、少し元気がないよう
に⾒える。
「チケット、無駄になっちゃったよ。せっかく買ったのに」
浦安のテーマパークのチケットを⾒せながら残念そうに⾔う彼。
「ごめんね〜。優⼦、きっぱりした性格だから……」
涼⼦が謝ると、
「そうだ、⼆⼈で⾏って来なよ」
と、俺たちにチケットを譲ろうとし始めた。俺は、そんなのダメだと⾔った。そして、涼⼦と⾏
ってきたら? と⾔ってしまった。
「え?」
涼⼦が驚いた顔を⾒せる。でも、直道は嬉しそうに、
「良いの!?」
と答えた。
「ケンゾー、本気で⾔ってる?」
涼⼦は、⼾惑っている。俺は、イヤなの? と聞いた。⾃分でも、どうしてそんなことを⾔った
のかわからないが、直道に申し訳ないという気持ちからだと思う。
「イヤじゃないよ。むしろ、嬉しいというか……ケンゾーも来たら? チケット買えば良いだけで
しょ?」
涼⼦は、そんなことを⾔う。でも、その⽇は仕事だ。
「そっか……どうする? 私なんかで良いの?」
涼⼦は、直道に恥ずかしそうに質問した。涼⼦は、まったく嫌がっていない。俺以外の男とのデ
ートに、抵抗を感じていないように⾒える。
俺は、急にドキドキしてきた。なにか間違いが起きるのではないか? そんな不安がもたげる。
「良いに決まってるじゃん! メチャクチャ嬉しい!」
直道は、さっきまでの少し落ち込んだ感じは消えている。俺は、不安を感じながらも、元気にな
った直道を⾒てホッとしていた。
直道が帰った後、
「ねぇ、本当に良いの? イヤじゃない?」
と、涼⼦がさっきと打って変わって⼼配そうに聞いてくる。俺は、イヤではないと伝えた。そし
て、涼⼦も無理をしていないかと質問した。
優⼦ちゃんのことがあったので、申し訳ない気持ちでそう⾔っているのではないか? そんな⼼
配をしている。
「イヤじゃないよ。だって、久しぶりだし。ゴメンね、ケンゾー仕事なのに」
涼⼦は、あっけらかんと答えた。他の男とデートをすると⾔うことに、罪悪感は感じていない
みたいだ。俺は、楽しんでくればいいと⾔った。でも、やっぱり少しは不安だ……。
そして、あっという間にその⽇が来た。俺が会社へ⾏く準備をいていると、涼⼦はすでに準備を
終えて出かけるところだった。
「ゴメンね、⾏ってくるね」
そんな⾵に⾔ってきた涼⼦は、とても可愛らしい感じだった。普段から可愛いのは間違いない
が、メイクのせいかいつもよりも⽬がパッチリしている。
服も、可愛らしいミニスカートに丈が少し短い薄⼿のニットだ。
いつもよりも若い感じで、⾒た⽬は⼥⼦⼤⽣みたいだ。俺は、気をつけてと⾔うことと、楽しん
できてと⾔った。
「ありがとう! お⼟産買ってくるね!」
笑顔で出ていった涼⼦……俺は、少しモヤモヤしながらも準備を続けた。
仕事を始めると、ずっとモヤモヤしていた。今頃何をしているのだろう? そんなことが気にな
ってしまう。気が乗らないまま時間ばかりが過ぎていく。そして、いつもより早めに帰宅した。当
然、まだ早い時間なので涼⼦はいない。
今⽇は、直道と⼣⾷も⾷べてくる予定だ。俺は、とりあえず冷凍チャーハンを解凍して⾷事の準
備をした。何時まで遊んでくるんだろう? たぶん、21時とか22時まではテーマパークは開いて
いるはずだ。
⾷事を終えて21時を過ぎた。⾃分の妻が、こんな時間まで他の男と遊んでいる……胸がモヤモ
ヤしてしまう。
そして、22時を過ぎた。さすがに連絡をしてみようと思ったとき、⽞関で物⾳がした。
「ただいま〜」
明るい涼⼦の声に、ホッとした。
「ゴメンね、遅くなっちゃった。⾞混むんだね」
拍⼦抜けするほど普通に⼊ってきた彼⼥。当然だが、出て⾏ったときと同じ姿だ。
「お腹は? ちゃんと⾷べた?」
涼⼦は、⼼配そうに⾔ってくる。でも、必要以上に丁寧というか、気を使っている感じがする。
もしかして、何かあったのではないかと⼼配になってしまう。
俺は、お腹は空いていないと答えて、今⽇はどうだったの? と聞いた。
「え? うん。楽しかったよ。ゴメンね、こんな時間まで」
涼⼦は申し訳なさそうに⾔う。⼀⽇の話を聞くと、本当にデートみたいな⼀⽇だったようだ。
俺は、話を聞いているうちに嫉妬⼼が膨れ上がり、涼⼦を押し倒すようにしてキスをした。
「アンッ、どうしたの? もしかして、ヤキモチ焼いてるの?」
涼⼦は、妙に嬉しそうだ。俺は、なんとなく認めるのが悔しいと思いながらも、そうだと告げ
た。
「まだ、そんな気持ち残ってたんだね。嬉しい。もう、飽きちゃったかなって思ってた」
涼⼦は、そんなことを⾔いながらキスをしてくれた。そのまま、お互いの服を脱がせながらキス
を続ける。
「なんか、いつもより固くなってる。嫉妬するとこうなるの?」
年下の嫁が俺の友⼈とデートしてキスまでしていた
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