「保健委員いる?」
「はい」
「保健室に連れて行ってくれる?」
「はい」
「濡れた服は自分で持ちなさい」
服を手渡され裸足のまま、保健委員の女子についていった。
「ほら、早く歩きなさい」
気が動転していて、歩くのが遅くなっていた。
「服は持ってあげるから」
そういうと、僕から洋服を奪って、さっさと歩いていった
5年生の教室は3階で、保健室は1階・・・。
一瞬だったのかもしれないが、長い長い時間、全裸の状態で学校内を歩かされた。
唯一隠す目的もあった洋服も奪われ、手で隠していると早く歩けないので、
結局、階段を下りて、保健室に到着するまで、少なく見積もっても
50人以上におちんちんを見られた。
「ちんこ丸出しで歩いてるぜ」
「変態だ」
そんな声が聞こえた気がする・・・。
ようやく、保健室に到着したが、カギがかかっていて留守だった。
「ここで待ってて、先生呼んでくるから」
そういうと、保健委員の女子は、足早に職員室に向かった。
僕は、保健室の前で、全裸で待つことしかできなかった。
洋服は、保健委員が持っていかれたし・・・。
5分ぐらいして、ようやく足早に保健の先生がやってきた。
「5年生のお漏らしさんはきみね」
「・・・」
僕は何も言えずにうなずくだけだった。
カギを開けると、
「とりあえず入りなさい」
「あなたも一緒にね」
「とりあえず、おしっこで濡れた体を拭かないとね」
先生(女)に、濡れたタオルを渡された。
保健委員にも濡れたタオルを渡した。
「あなたも拭きなさい」
少しびっくりした感じの保健委員が僕の後ろに回って、背中からお尻あたりを
拭き始めた。
「学年末で、男の子のパンツがないわね、どうしようかな」
「これしかないけど、履かないよりはいいわね」
と女子用のパンツを手渡された。
ぼくがもじもじしていると、
「それとも全裸で帰る?」
慌てて、首を振って、
言われるがまま、女子用のパンツをはいて、ズボンを履こうとしたら、
「ズボンとシャツは濡れているから、水洗いして、乾燥機で乾かしてあげるから貸しなさい」
「全裸できたから、パンツ一枚でも大丈夫でしょ
教室に戻っていいわよ」
裸足のまま、女子用のパンツを履いただけの格好で、保健室を追い出された。
フリチンと女子のパンツとどっちが恥ずかしいか・・・。
当時は焦っていて、何も考えられなかったが
いまなら、先生にお願いして保健室で待たせてもらおう・・・。
教室に戻ると、すでに掃除は終わっていて、『帰りの会』が始まっていた。
先生(女)から
「どうしたのその格好?」
保健委員が事情を説明した。
「『帰りの会』が終わるまで、先生の横で立ってなさい」
ぼくは、女子用のパンツ1枚の格好で、立たされた。
「先生、さようなら」
ようやく、『帰りの会』が終わって、ぞろぞろと帰り始める。
「男子が女子の服を着るのおかしいよ」
教室の後ろの方で、そんな話題になっていたらしく、
いつのまにか、教室中「脱げ、脱げ、脱げ」コール!
その集団が、僕の方に近づいてくる・・・。
僕の周りに女子だけ10名ぐらい集まってきた。
「おかし~い」
「変態」
「おもらし病」
「はやく脱ぎなさいよ」「脱げ~」
女子のパンツを嫌々ながら脱いで、フリチンになった。
口々にいろんな事を言われて、また涙がでてきた。
「ほら、いじめてないでさっさと帰りなさい」
先生(女)が、一喝した。
「これからはちゃんとトイレに行くのよ
授業中でもいいからね、お漏らしするよりいいでしょ
ランドセル持って、はやく保健室に行きなさい」
「はい」
全裸にランドセルという格好で、保健室に向かった。
手には、女子用のパンツを握っている。
今思えば完全に変態小学生だ。
最悪なことに、保健室はまたカギがかかっている。
職員室に行く勇気もなく、しばらくカギのかかった保健室の前で待っていた。
帰る生徒も多くなり、保健室の前の人通りが多くなってきた。
みんな僕の方をじろじろみている。
保健室の方を向いて、じっと立っていた。
15分ぐらいしてやっと先生(女)が戻ってきた。
「やっと乾いたわよ、少し生乾きっぽいけど、早く着なさい」
着替えをしている僕をずっと見ていた先生が、
「5年生になってお漏らししちゃう子は、何らかの病気の可能性があるからね」
「さっき電話で病院の方に確認したから、この紹介状を持って、大学病院にいってきなさい
お母さんにも、さっき電話でお話しておいたからね」
「ありがとうございました」
「失礼します」
生乾きの洋服の違和感に包まれながら、帰宅の途についた。