精神科の治療では、そういう特異なズレ方をした家庭環境を目の当たりにすることが非常に多いです。
僕が◯◯◯センターに勤めていたときに、何より驚かされたのは、日本でも近親相姦が少なくない。
加害者が義父や父親で被害者が娘というケースとか。
ただ、僕が不思議でならなかったのは、被害者の娘が高校生ほどの年齢に達しているのに、なぜ先生や身近な人に助けを求めたり、逃げようとしないのか、理解できなかった。
でも、よくよく考えれば、小さい頃からそういう目に遭わされ続けていたら、それが当たり前だと受け入れてしまうんだよ。
ある種、洗脳に近い精神状態といえるかもしれない。
イヤだというのは、ほかと比べるからイヤなわけでしょ。
小さいときからそういうふうにさせられていたら、それが正しいだと思わされたら、そういうものだと思うよりほか思いようがないんじゃないかな。
桜庭一樹の小説「私の男」も、養父と娘の近親相姦を題材にした物語で、その娘にしたら、それがどんなにイヤなことであってもいつしかそれがお父さんと2人だけの濃密な時間として自分の中に染みついてしまっているわけです。
世間の善悪とか道徳観とかそれこそ生理的な嫌悪感とか、そういうものは「開かれた世界」のつながりや人との関係性があって初めて認知できるものなんじゃないかと・・・。
精神科では特異な家庭環境を目の当たりに
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