時代は昭和だった。
俺はある地方の町で生まれ育った。
その町の産業は、
ほとんど全てと言っていいほど世界的企業であるT社に依存していた。
T社の子会社や孫会社、そのまた子会社・・・その取引先・・・
それらのどこかに身内の誰かが必ず所属している。
そんな町の町立小学校の3年生の時、
俺は初恋をした。
相手は小夜ちゃんといって、元気が良くて誰からも好かれる美少女だった。
クラスが常に小夜ちゃんを中心に良い形で回っていて
イジメのような陰惨なことは皆無で、誰もが仲良く楽しそうに笑ってた。
しかし、小学校5年の時、名古屋から木島という転校生がやって来た。
木島は頭も良くスポーツもでき、さらに父親がT社本社の部長だったもんだから、
転校してきて、すぐに学校中から注目された。
木島は頭脳、運動神経、親の権力と3つのものを持ち合わせていたが、性格だけはお世辞にも良いとは言えなかった。
すぐに木島は取り巻き連中と徒党を組み、気の弱い奴らを苛めだした。
それだけだったら、
俺が思い起こして文章にする必要はないのだが、悲劇が起ったのだ。
その時、
学級委員と児童会の役員を兼任していた小夜ちゃんは、とても正義感が強く姐御肌の性格だ。
木島と衝突するのは、もはや必然だった。
二人は事あるごとに言い争い
何度か小夜ちゃんが木島を言い負かし、悔しそうに木島が顔を歪める姿を目にすることもあった。
しかし、木島はT社部長の息子。
先生も腫れものに触るような扱いだったし、クラスにも木島に堂々と逆らおうとするものなど
小夜ちゃん以外は皆無だ。
最初こそ良い戦いだったが
結局は木島達の理不尽から皆を守ろうとした小夜ちゃん自身が学校中から浮き出し、
誰からも相手にされなくなってしまった。
それでも、気の強い小夜ちゃんは折れることもなく、気にせず木島につっかかっていった。
ところが、ある時、勢い余った小夜ちゃんの手の指が木島の目に入ってしまい
木島の目は真っ赤に充血し、すぐに帰宅することになった。
子供どうしのよくある喧嘩だったが、相手が悪かった。
異例中の異例で小夜ちゃんは校長先生から叱責され、停学処分になってしまったのだ。
小さな町だ。
鮮烈な暴力事件として噂が噂を呼び
その事件以降、
親たちまでが木島を恐れ、小夜ちゃんの家とは一切かかわりを持たなくなってしまった。
一瞬にして村八分といった構図が出来上がった。
小さな洋品店を営んでいた小夜ちゃんの家は客が寄り付かなくなるだけでなく
町内でモノを買うことができない状態にまで追い込まれていった。
それからどれくらい経った頃か
停学処分が終わっても、暫く学校に顔を見せなかった小夜ちゃんが学校に来た。
相変わらずの美少女っぷりに目を奪われていると
隣の席の吉田が得意げに言った。
「昼休みに視聴覚室へ来いよ、良いものが見れるぜ」
下品に歪めた唇が妙に気になった。
そういえば、吉田は小夜ちゃんに告って振られたことがあったはずだ。
「良いモノってなんだよ?気になるじゃないか、教えろよ」
言いたくて言いたくて仕方がなかったのだろう
吉田は鼻の穴を膨らませた。
「お前、女のアソコ見たことあるか?
俺は見せて貰ったぜ、小夜のケツの穴まで全部w」
「な、なんだと!」
吉田も木島に劣らず相当性格の悪い奴だったが、
それ以上に大人顔負けのスケベだった。
次章「憧れの同級生が見せた裸のY字バランス 」へつづく
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