妹が病院に駆けつけてくれて


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妹と嫁さんは、最初のころからなんとなく仲が悪かった。
妹はおれの三歳下。嫁さんはおれと同い年。妹は専業主婦で、子供がふたりいる。嫁さんはわりあい派手な業界で働いている。うちには子供はなし。
嫁さんはわりあいいい大学を出ていて、少し専業主婦を馬鹿にしているところがあった。妹はそれが気に入らないのかもしれない。
七年前だけど、平日の夕方、おれは出張先で、仕事を終えたところで倒れて救急車で運ばれた。何かすごい目眩で立ってられなくなったんだ。それで入院。
その日は診断がつかなくて、次の日検査するから、数日入院してくれとのことになった。
おれは緊急連絡先として、嫁さんの電話番号を教えたけど、危篤にでもならないと嫁さんは来ないと思ったんで(ちょっとおれたちの夫婦の仲は冷えてる)、妹のケータイ番号も教えた。
出張先は東京から新幹線か飛行機を使う距離で、嫁さんが来るにしても半日かかる。妹のところは私鉄と在来線と乗り継いで二時間と少しの距離。
自分で家族に電話してくれと言われたので、まず嫁さんに電話して、数日入院のことを教えた。
嫁さん「大丈夫だね。行かなくてもいいね」ってことになった。
妹に電話すると「明日行く。午後に着く。義姉さんは?」
「来ない」
「救急車で運ばれたのに?」
「うちは、そういうもんなんだ」
次の日、午前中の検査。昼過ぎの診察で、大事じゃないとわかった。薬で症状を落ち着けて、点滴が終わったら夕方には退院できるってことになった。
午後、おれが眠っているところに妹がやってきた。
このあと退院できると言うと、
妹「一泊することになるって、子供預けてきたし、どうしようかな。きょう帰ってもしかたがないし」
そこに嫁さんからメール。
それを読む前に、妹が言った。
「せっかくだからあたしも休むことにする。兄ちゃんつきあってよ」
妹ともう少し一緒に過ごせるならそれもいいなと、嫁さんには嘘の返事した。
「たいしたことなかった。明日午前中に退院」
嫁さんに嘘を書いたときに、正直言うと、妹とそうなってもいいという気持ちがほんの少しあった。そもそもそういう気持ちは、思春期からずっとあったような気がする。
いや、期待、だな。このときは、妹もそのつもりじゃないかと勝手に解釈した。
妹が退院手続きにつきあってくれて、病院を出ると、妹は言う。
「兄ちゃん、過労だったんだよ。温泉に行かない? お風呂の中で足を伸ばして、ゆっくりしないとだめだよ」
「肩もんでくれるか?」
「いいよ。あたし、上手なんだよ」
その街には、わかし湯だけれども、温泉大浴場が売り物のシティ・ホテルがあった。
「ここでいい? 予約するね」と妹がさっと予約。
ツインを取ったという。
「え」おれはどぎまぎ。「いいのか?」
「変なことしなければいいでしょ」
変なことって、どういうことだよ。
「あたしも、肩もんでもらいたいんだ」
「そうか」
タクシーでそのホテルへ行ってチェックイン。部屋に入ってツインのベッドを見ると、どうも気まずい。
照れ隠しでどうでもいいことをしゃべりながら、おれたちは大浴場に行くことにした。寝間着では行けないところだったので、上着だけ脱いで大浴場へ。なんとなく中途半端なリラックス感だった。
おれが先に大浴場から戻り、少しして妹。
妹「マッサージするから寝間着に着替えて」妹は自分もホテルのロングTシャツみたいな寝間着に着替えた。
おれに背中を向けて堂々の着替えだ。下着姿が目に入る。おいおい、いいのか。妹はいかにも主婦っぽい下着だった。
ベッドにうつ伏せになると、よくあるマッサージ師ごっこになった。
「お客さん、こってますね」
「ストレスが多い生活なんです」
「仕事のですか。家庭のですか」
「ええ、まあ、どっちも」
そんなに長い時間しないで、おれは仰向けにされた。脛のマッサージ。ちょっと痛かった。
「痛い」
「あ、ごめん」
妹は心配そうにおれを見下ろしてきた。
見つめ合っているうちに、おれは猛烈に妹が可愛くて、抱きしめたくなった。両手を突き出して言った。
「おいで」
妹はおれの身体の上に、少しおずおずという調子で乗ってきた。
きた!
おれは妹を抱いて、目の前にきている妹の顔を見つめた。妹は目をつぶった。
そうしたら、キスするしかないよな。
軽く、唇をつけるだけのキス。
つんつんと繰り返していると、妹の息が荒くなって、舌が入ってきた。長いベロキスになった。
態勢を変えて、おれが上になって、寝間着の上から胸を触り、あそこに手をやった。
妹はいやがらない。目をつぶっているだけ。何にもしゃべらないで、おれは妹の寝間着を脱がした。
もう一度キスしながら、妹の身体を、とにかく優しく、いやらしくならないように愛撫。ショーツに手をかけると、妹は腰を浮かして、自分で脱いだ。それから背を起こしてブラも取った。
想像以上に大きな胸だった。ヘアはたぶん手入れしていなくて、割れ目に指を入れると濡れていた。
「あん」と妹はひかえめに声をもらした。
乳首をすって、舌先で転がして、指を割れ目の中へ。
妹に正常位で入れる姿勢になると、妹は目を開けて、不安そうな声で言った。
「兄ちゃん、あたしたち、悪いことするんじゃないよね?」
「ちがうよ。悪いことじゃない」
「義姉さんにも」
「考えなくていいよ。これ、自然だろ?」
「うん。だけど、いやらしいことしないでね」
セックスするわけだから、それは難しいかも。
「おれが、いやなことをしたら言えよ」
「うん」
それから挿入。
妹はまたおれの顔を見なくなった。顔をそむけて、困ったような表情だった。
それでも少しずつ妹も感じていってようだった。おれは体位をほとんど変えず、正常位でピストンを早めた。
「あ、兄ちゃん、いい。兄ちゃん、行く。兄ちゃん、だめだ」
「だめか?」
「ううん。いい。あ、だめ」
妹はおれの背中に腕をまわしてきた。
すぐにふたりとも高まって、妹は大きな声を上げた。おれは理性を振り絞って、妹から抜いた。腹に射精。
おれは、両手で自分の身体を支えて、しばらく四つんばいの姿勢でいた。ここでも正直に言うと、賢人タイムだからじゃなくて、猛烈な罪悪感で、どこかに逃げたい気分だった。妹の身体から下りても、おれは妹の顔をまともに見られなくて、胸の横に妹の顔を抱え込んだままでいた。
妹とやってしまった。嫁さんにも両親にも絶対に言えないことを、おれはしてしまった。おれはきっと、妹に口をきいてもらえないぞ。
「ごめんな。汚してしまった」
とりあえず腹にかけた精液のことを謝った。
妹がおれを慰めるように言う。
「兄ちゃん、謝らなくていいよ。ひとつの部屋に泊まったんだもの。あたしが決めたんだもの」
妹は、おれがセックスしたことを謝ったのだと勘違いしたみたいだった。
「あたし、ずっと兄ちゃんとこうなりたかったような気がする」
「ずっと?」
「兄ちゃんに、義姉さんを紹介されたころから。取られたくなかったんだ、きっと」
ちょっと危ない方向に会話が行きそうだったんで、妹の話題に。
「お前の披露宴で、おれもそう思った。きれいだったよな」
「いいよ。あたしのことなんて」
妹はベッドから起きてバスルームへ。シャワーを浴びてから戻ってきた。
「さっき、気いつかってくれて、ありがと」
腹に出したことだ。
「心配だったんだけど、兄ちゃんをしらけさせたくなくて、言えなかった」
「おれが、気をまわすべきだったな。お前の気持ちがわからなくて」とおれは弁解した。「なりゆきにまかせてしまった」
「ほんとの気持ち言うのが、恥ずかしかったんだ」
それから抱き合ったまま子供時代のことなんかをしばらく話しているうちに、腹が空いてきた。
「街に出て、晩飯を食おう。駆けつけてくれたんだから、好きなもの、ごちそうするぞ」
「あたし、こんな格好だよ。お見舞いで雑用するつもりだったから。コンビニ弁当でもいいよ」
妹はお洒落してなくて、ほんとにこのまま家事をやりますって服装。
「せっかく妹と会ってるんだから」
ホテルを出て、適当に見つけた和食の店に入り、海鮮のコース料理。少しお酒も飲んだ。夫婦と誤解されてお酒を飲むのは楽しかった。
飯のあと、街を少し歩いた。
「手をつないでいい?」と妹。
「ああ」
おれたちは、小学生の兄弟みたいに手をつないで、その街を少し歩いた。
妹が住んでるところにわりあい近い街だから、妹の知り合いに見つからないか、心配した。だけど妹は全然気にしていなかったな。
お酒も入ったし、夫婦と誤解されたせいか、またしたくなってきた。
おれは妹の頭を引き寄せて、おでこにキスしてから聞いた。
「戻るか?」
「うん」
おれはコンビニに入って、飲み物とコンドームを買った。
部屋に戻ってからのセックスは、ちょっと濃いものになった。こんどはしっかり妹はおれを見つめてくる。
「兄ちゃんたら、どうしてこんなにいいのよ」
「お前にも聞きたいよ。どうしたんだ、これ?」
「シャーセ、って気分なんだけど」
「わかる。感じてるよ」
「こんな感覚初めてだよ」
おれがちょっと突くと、妹は「あん」と反応して「もうあたし、全身性感帯になってるよ」
翌朝は抱き合った格好で目をさました。それからホテルの中で朝食。向かい合うテーブル席だと、やっぱり照れくさくて妹の顔が見られなかった。
ホテルをチェックアウトして、JRの駅前から、おれはバスで空港に向かう。妹は、まず在来線。
駅に歩いているとき、妹が言った。
「この街まで、よく出張ってあるの?」
「年に一回かな」
「こんどは?」
「たぶん来年のいまごろ」
「そのとき一緒に泊まっていい?」
「大丈夫か?」家庭のことを心配したんだ。
「あたしが浮気するなんて誰も思わない。でしょ?」
「浮気ともちがうけど」
「仲のいい兄ちゃんがいるだけ」
「たまには東京に出てくるんでもいいぞ」
「あ、それもいいね。あたし、お小づかい少ないから、頼りにしていい?」
「妹と割り勘なんてできるか。全部まかせろって」
「兄ちゃん、男だ」
それから、七年。嫁さんが出張するときに、妹を東京に呼ぶんだけど。
最近、嫁さんは気づいている雰囲気がある。

 

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