「お腹空いた〜。ご飯、まだなの?」
嫁のちさ子が、少し苛立ったような口調で言う。僕は、もう少しで出来ると言いながら、焦ってフライパンを振った。僕自身も、さっき会社から戻ったばかりだ。途中でトワイライトスクールに寄って息子をピックアップしてくるので、どうしても遅くなってしまう。
「お腹ペコペコだよ〜」
ちさ子は、すでにビールを飲みながらリラックスモードだ。それに引替え、僕はまだスーツのズボンにワイシャツ姿だ。少しは手伝ってくれると良いのにな……と思いながらも、倍近く違う年収の前に、なにも言えない僕がいる……。
慌てて夕食を作り、テーブルに並べていく。ちさ子は、並べるそばからどんどん食べてしまう。僕を待ってくれるような配慮はないみたいだ。
「ママ、パパまだだよ」
息子がそんなことを言ってくれる。僕は、先に食べてて良いよと言った。息子は、うんと頷くと、頂きますと言って食べ始めた。
「パパ、ビールもう一個取って」
ちさ子は、息子の言葉も響かずに相変わらずだ。僕は、冷蔵庫からビールを取り出しながら、やっと座って食べ始めた。もう、こんな生活にもすっかりと慣れた。
ちさ子は、僕を尻には敷いているが、優しいところもある。愛されているなと思える時もある。でも、自分自身が不甲斐ない……。
ちさ子は、33歳のスレンダーな女性だ。脚も長くてスタイルが凄く良い。ただ、胸は小ぶりだ。でも、そんな事は問題にならないくらいに、美しい顔をしている。
黙っていると怒っているのかな? と思うようなキリッとした顔立ちで、長いまつげの下にすっと通った鼻筋、幼児のような黒目がちの瞳も、見つめられると催眠術にかかりそうなほどだ。
そんなちさ子は、外資系の保険会社でバリバリと働いている。年収も、僕の倍近くある。その分ハードワークのようで、帰りが深夜近くになることもザラだ。いつの間にか、僕が家事全部と息子の送り迎えをするようになっていた。
寝る時間になり、ベッドに潜り込む。久しぶりに夜のお誘いをかけてみた。
「え? うん。別に良いけど、疲れてるから手早くして」
ちさ子は、そんな言い方をする。それでも僕は、ちさ子にキスをして抱きしめた。舌を差し込んで絡ませていくが、ちさ子はあまり積極的にキスをしてくれない。
それでも、美しいちさ子とキスをしているだけで興奮が高まるのを感じる。僕は、キスをしながらパジャマごと胸を揉む。小ぶりだが、柔らかい手触りにドキドキする。
パジャマを脱がせようとすると、
「下だけでいいよ。着るの面倒だし」
と、つれないことを言われる。僕は、脱がせるのを諦めて、パジャマ越しに乳首を触り始めた。
「ンッ、フゥ……ン」
乳首を責めると、さすがに吐息のようなものは漏れ始める。そして、指に触れる乳首の感触も、固くしこったものに変わっていく。
僕は、時折キスをしながら乳首を責め続ける。
「もう良いよ。早く入れて」
ちさ子は、そんな言葉を口にする。でも、それは焦れて言っているのではなく、手早く終わって欲しくて言っているのがわかるような良い方だ。
言われるままにちさ子の下だけ脱がせた。白くて長い脚がなまめかしくて、ペニスはさらに固さを帯びる。僕はすぐに全裸になり、コンドームを装着すると挿入した。
「んっ、あっ、んっ、うぅっ」
ちさ子は、うめくような吐息を漏らす。気持ちよさそうな感じはあるが、それほど感じているようでもない。でも、キツい締め付けと、少し上気したような表情を見て、興奮しながら腰を振り続けていく。
動き始めてまだ少しなのに、もう射精感が高まってきた。
「イキそう? 良いよ、いつでも出して」
ちさ子は、そんな風に言う。セックスを楽しもうという感じがなくて悲しくなってしまう。少しでもちさ子を感じさせたくて腰を振り続ける。でも、僕の限界も間近な感じだ。
それでもイクのを堪えながら腰を振っていると、ちさ子が僕の乳首を舐め始めた。無表情で淡々と舐めている。僕を感じさせようという意図ではなく、早く射精して終わって欲しいと思っているのが伝わってくる……。
悲しい気持ちになりながら腰を振るが、まだセックス自体を拒否されないだけマシかな? と思った。そして、あっけなく射精してしまった……。
「うぅっ、出てる……。お疲れ様。気持ちよかった?」
ちさ子は、もうすっかりと普通の顔に戻っている。僕は、早くどけと言われた気持ちになって身体を離す。ちさ子は、そのまますぐにパジャマを着て横になった。
これではオナニーと代わらないな……と思いながらコンドームを外し、悲しい気持ちのままパジャマを着始めた。僕がパジャマを着終える頃には、ちさ子はすでに寝てしまっていた……。
寝ようと思ったが、色々考えてしまってなかなか寝付かれない。なによりも、あっさりと射精してしまったせいか興奮が抜けていない。
しばらく寝ようと努力したあと、やっぱり無理だと思ってリビングに行った。そして、オナニーをして興奮を収めようとしてノートパソコンを開いた。
色々とオカズを探している時、テキスト広告の”寝取り屋”と言う文字が気になった。クリックすると、寝取られ性癖の男性のためのサイトで、パートナーを寝取るという商売をしているようだった。
自分では、寝取られ性癖はないと思っているが、なんとなく興味を引かれて説明を読み進めた。普通の生活の中で奥さんや彼女を堕とす……パートナーが寝取られることを承諾していない状況で浮気状態に持ち込み、身も心も堕とす……そんな事をしますと書いてある。
思っていたのと違い、かなり驚いてしまった。夫婦でどこかに行って、夫の目の前で妻が同意の上で他の男性に抱かれる……そんなサービスだと思っていた。
そんな事が出来るのだろうか? そして、もしもそれが出来た時、夫婦関係はどうなるのだろう? 離婚?
サイトには、色々な説明が書いてある。夫婦仲が良くなるとか、妻がセックスに積極的になったとか書いてあるが、本当だろうか? とてもではないが信じられない。
浮気をしていると、パートナーに優しくなる……それはあるかもしれない。サイトを読み進めると、結局夫の目の前でプレイをする事になるケースも多いと書いてある。
にわかには信じられないことばかりが書いてあるが、このサイトのツイッターもあり、そちらを見た。そこには、目線で隠された女性が、フェラチオしたりハメられたりしている動画が載せられていた。
夫の目の前でバックで貫かれながら、ごめんなさいと言い続けている動画もあった。僕は、急にちさ子が他の男に抱かれる姿を想像してしまった。
僕とのセックスでは見せないようなとろけた顔……大きなあえぎ声……そんなちさ子を想像すると、今までに感じたことのない興奮を感じた。
嫉妬や独占欲……そんなものが刺激される感覚だ。でも、興奮も間違いなく大きくなっていて、僕のペニスは手も触れていないのに射精しそうな感覚になっていた。
でも、結局僕はこのサイトはヤラセだと判断した。そして、いつも通りにオカズを探してオナニーを始めた。でも、やっぱりさっきのサイトが気になる。そして、寝取られもののオカズを探した。
素人ものっぽい動画……かなり昔のものだと思う。顔をモザイクで隠された女性が、4人の男性をいっぺんに相手している。
騎乗位で腰を振りながら、口にもくわえて両手にもペニスを握っている。そして、画面の端には、オナニーをする夫の姿まで映っている。
「オマンコ気持ちいいっ! 旦那の粗チンとは大違いよ。中に出して。雄の本物のおチンポで、旦那の前で孕ませてっ!」
女性は、我を忘れたように叫んでいる。セックスで、こんなにも感じるものだろうか? 女性は、嗚咽を上げて泣きそうな状態になっている。
僕は、ちさ子がこんな状況になっている場面を想像した。不快感が強い。こんなのは最悪だと思った。でも、意に反してペニスは異常なほど勃起している……。
画面の中では、顔に精液をかけられた女性が、狂ったように腰を振りながら精液を口に集めて飲み干している。僕は、動画の女性とちさ子と重ね合わせながらペニスをしごき始めた。
すると、3回しごいただけで射精をしてしまった……。小さなペニスから、驚くほどの精液が飛び出していく。まさか、こんな事になるとは思っていなかった。
いつも早漏であっという間に射精をしてしまうが、それでも1〜2分は保つ。それが、たった3こすりで射精をしてしまった……。情けない気持ちと自己嫌悪を感じながら、動画を見続けた。
そんな日々が1ヶ月ほど続き、結局僕は寝取り屋さんにコンタクトを取った。そして、実際に面談に行ってきた。ごく普通のマンションの一室で面談した。
面談した寝取り屋さんは落ち着いた感じの男性で、なかなか整った顔立ちをした優しそうな男性だった。年は恐らく30半ばから40前半くらい。引き締まった身体をしているのがわかる。
「この部屋で、色々するんですよ。そこの鏡がマジックミラーになっていて、隣の部屋から覗けるんです」
彼は、穏やかな顔のままそんなことを言う。実際に見せてもらったが、本当に丸見えだった。ソファにベッド、全部見える。
「ご主人の希望があれば、ここで奥様が抱かれる姿も見てもらえますよ」
彼は、笑顔のまま言う。怖いことをいっているのに、表情は穏やかなままだ。少し怖いなと思ってしまった。
そして、コースやプランの説明をされた。基本的に、この部屋でのプレイは動画を撮ってもらえるそうだ。外でのプレイは、録音か動画。そして、プレイもマゾ調教や精神的に完堕ちさせるなどなど、かなりのバリエーションだ。
僕は、この男性がそんな事が出来るのだろうか? と、疑念を感じていた。なかなかのイケメンとは言え、絶世のイケメンと言うほどでもない。
そんな僕の疑念を感じたのか、彼は動画を見せ始めた。卑猥なランジェリー姿で、土下座をして床に頭をつけている女性が映った。
「ご主人さま、今日も淫乱な牝豚のオマンコを、旦那のよりも遙かに立派なおチンポで犯し抜いて下さい。旦那の粗チンで孕みたくないので、先に孕ませてください」
そんなことを言って、女性は顔を上げた。その顔を見て、驚いてしまった。僕でも知っているグラビアアイドルだ。格闘技のイベントラウンドガールもしていたような女性だ。
最近結婚して、あまり表舞台には出ていなくなっていた女性だ。そんな女性が、スケスケの卑猥なランジェリー姿でとんでもないことを言っている。
「彼女の旦那さん、プロ野球選手で身体は大きいのに粗チンなんですよね」
寝取り屋さんの大神さんが、やっぱり穏やかな顔で言う。画面の中では、ソファに大神さんが座っている。
「じゃあ、ご奉仕してごらん」