日本から遠く離れたヒマラヤの国・ネパールの山岳地帯では、かつて、年頃の男女のカップリングを目的とした歌合せの儀式が存在し、今なお同国の寒村地帯の一部では、同様の儀式が行われていると言われている。またこの日本においても、かつて、歌や踊りを交えつつ、今で言うところの「乱交パーティ」へと雪崩れ込む、なんとも不思議な儀式が存在していたという。
「私の育った村はね、本当に小さい村でね。それこそ、村人のほとんどが親戚みたいな場所。だから年に1度開かれる隣村との祭りのときはね、それこそみんなで胸を高鳴らせたものだよ」
その若き日に経験したという「乱交祭り」についてそう語り始めたのは、群馬県の北東部にある山あいの村に暮らす元農家・柴田善造さん(仮名・93)。柴田さんの話によると、毎年秋の収穫の時期になると、5キロほど離れた隣村の住民たちと合同で、その「祭り」が開かれていたのだという。
「祭りの日はね、昼間、普通の祭りをやるんだよ。要は収穫祭みたいなの。けれども、日が沈んで暗くなってくるとね、みんな一度、家に戻って支度するんだよ。それで夜の9時になるとね、隣村とうちの村の境くらいの場所にあるさ、庚申堂に集まってね。そこからが大人の祭り…」
秋の収穫祭が行われた日の夜に、村境の庚申堂に集まったふたつの村に住む成人の男女たち。男は褌1本、女は襦袢1枚を羽織っただけの半裸に近い姿で、またそれぞれが目出し帽のような頭巾被って集まると、頃合を見計らい、笛や太鼓の音がどこからともなく鳴りはじめる。すると、狐面を被った神職が堂の入り口へと現れて、この村に古くから遺されている軍配団扇を振りかざし、彼らに合図を出す。それが宴のスタートというわけだ。
「最初はね、なんだろう、若い人風に言うと、ダンスみたいなものかな。みんな、動物の動きを真似したへんてこな踊りをして奇声を上げるんだよ。そうするとね、酒の勢いもあるのか知らんけど、だんだんムラムラしてきてね。気づくと、誰からともなく交わりはじめるというわけ。それでしばらく交わってお互いが果てると、今度は相手を交代してまた交わる。それを丑三つ刻まで続けるっていう祭りなんだよな」
頭巾を被った男と女が、笛や太鼓の音に合わせるように、ただひたすらに交わり続けるという異常な光景。無論、頭巾を被っているせいで、お互いの素性はわかりはしないが、男女ともに足の踝付近につけた目印で、お互いの住む村だけを識別し、同じ村の者同士とは交わらないという取り決めになっていたのだという。
「もともとあのあたりはね、昔から人が少なかったから。だから少しでもいろんな血が混ざって、子供ができるようにっていう狙いがあったんじゃないかな…。詳しいことは今でもわからないのだけどもね」
これまでも何度か紹介しているように、日本全国の寒村では、子宝祈願などの名目で、実に様々な形での乱交行事や、夫婦交換が行われてきた。このことは、多くの人々の知るところであるが、どうやら群馬県の一部で昭和初期まで続いていたというこの祭りもまた、そうした儀式のひとつだったと言えそうだ。
《引用元》 奇習! 群馬に実在した「乱交祭り」の実態 ― 笛と太鼓と交わりの声
http://tocana.jp/2016/03/post_9121_entry.html
実在した乱交祭り、笛・太鼓・交わりの声
3文字数:1460
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