「たまってるんでしょ」
姉が上目遣いに目配せをするから、目を見開いたまま薄暗くなった夕暮れの公園の木立を何とはなしに眺めていた。
「実家に帰ってくればこうして抜いてもらえるんだからいいわね」
姉はジーンズのファスナーを開けさらにはブリーフからおとなしく縮こまる筆の穂先をつかみだした。
「ほら。お口のほうが手でこするより気持ちがいいでしょ」
姉はまじめな性格で真摯なまなざしが心を動かすことがあった。
それだけに心のこもったフェラだったが発射には至らなかった。
「あたし、妊娠しているのよ」
見るとおなかが膨らんでいる。
危うくやらかしてしまうところだった。
「ところで、同級生の有紗なんだけど」
話が飛ぶなあ。
はいはいそれで。
姉は携帯で有紗に連絡を取っている。
「久しぶりにカラオケしようよ」
勤め先からやってきた有紗は作業服だった。
「それが会社の制服なのか」
高校時代の制服よろしく作業服には純朴な印象しかなかった。
「これからどうするの。帰って寝る」
隣の席で有紗が肩を寄せる。
いたずらっぽく笑うその表情は知っているといっているかのようだった。
「抱いて」
姉がトイレにでも行っていたのか戻ってきた。
「お持ち帰りということでいいのかしら」
姉に送ってもらったのは一人暮らしの有紗のアパートだった。
「それじゃあ有紗後はよろしくね」
え。帰っちゃうの。
有紗がじっとこちらを見ていた。
これは。
なぜか裏切ることは許されないそんな気持ちになった。
「緊張してるの。純情だなあ」
目力がある。
その日初めてを知った。