「美味しいです。これ、なんて料理なんですか?」
嫁の萌が、千里さんの料理を食べて目を丸くしている。スパイスの効いたエビと香草の炒め物は、たぶんタイ料理なんだと思う。今日は、お隣の松山さんのところにお邪魔して、一緒に夕食を食べている。隣の松山さんとは、子供が同じ幼稚園に通っていると言う事もあり、こんな風に家族ぐるみでの付き合いをしている。
松山さんのご夫婦は、夫の遥人さんが33歳、千里さんが32歳で、僕ら夫婦が二人とも28歳なので少し年上だ。遥人さんも千里さんも、年齢の差以上に年上の感じがあり、落ち着きのある大人のご夫婦という感じがする。
千里さんは170センチと長身で、本当にスタイルの良い女性だ。僕は、ついついその長い脚を眺めてしまうときがある。嫁の萌が150センチとかなり小柄なので、二人が並んでいると身長差が凄くて笑ってしまう。
「なんだろう? 教えてもらってよく作るけど、名前とか知らないわ」
千里さんは、キョトンとした顔で言う。千里さんは、あまり物事にこだわらない性格だ。
「今度、教えてください。美味しいです」
萌は、美味しそうに食べ続ける。無邪気で可愛らしい笑顔を浮かべていると、女子大生とかそれくらいの年齢の女性に見える。二人は、本当に色々対照的だ。身長もそうだし、胸の大きさもそうだ。萌は、かなり胸が大きい。見た目の幼さとはギャップがあるほど、巨乳キャラだ。千里さんは、胸は小ぶりな方だと思う。着痩せするタイプなのかもしれないが、あまり主張していない。
顔立ちも、千里さんはいわゆる美人系で、萌は可愛い系だ。どちらもルックスはかなりレベルが高いので、こんな風に二人が一緒にいるだけで、とても華やかな雰囲気になる。
息子達は、リビングで楽しそうに電車のオモチャで遊んでいる。千里さんの息子さんが1つ年上なので、ウチの息子が遊んでもらっているような感じになっている。
「萌ちゃんも、料理上手だよね。和食が得意だよね?」
遥人さんが、落ち着いた口調で言う。本当に大人の男性というイメージだ。顔立ちも結構整っていて、千里さんと並んでいると、美男美女という感じになる。
「おばあちゃんに料理教えてもらったからです。でも、じゅん君はパスタとかの方が好きなんです」
急に僕の事を言われて戸惑ってしまった。確かに、どちらかというと和食よりも洋食が好きだ。でも、萌が作ってくれる和食は、とても美味しいし大好きだ。
楽しく会話をしながら、食事が進む。幼稚園の話題になったり、子育ての悩み的な話になったりもする。いつもこんな感じで、楽しい時間だ。子供達は、いつの間にか昼寝を始めていた。無邪気に眠る姿は、本当に可愛らしい。幸せを感じるひとときだ。そして、休日と言う事もあり、ワインを飲み始めた。昼間から飲むのは少し罪悪感のようなものを感じるが、ますます会話が盛り上がっていく。
「そうだ、千里、あの話してみたら?」
遥人さんが、突然そんな事を言い始めた。すると、千里さんは顔を一瞬で真っ赤にした。
「そ、そんなのダメよ。急になに言ってるの?」
千里さんは、珍しく動揺している。いつも冷静で上品な彼女が、こんなに慌てるのは始めて見た。萌も同じ事を思ったようで、興味を惹かれている。
「なんですか? 何の話ですか?」
萌は、遥人さんと千里さんを交互に見ながら聞く。
「な、なんでもないわ。くだらない話よ」
千里さんは、動揺したままだ。遥人さんは、動揺する千里さんを見て楽しそうにしている。なんだろう? 楽しそうだなと思った。
「遥人さん、なんですか? 千里さんの事ですか?」
萌は、かなり気になっているようだ。千里さんは、ますます顔を赤くしている。こんな様子を見ると、僕も気になってしまう。
「千里、スワッピングがしたいんだって」
遥人さんが、何食わぬ顔で言う。
「ちょっ、な、なに言ってるの、バカじゃないの!」
千里さんが、取り乱している。
「すわっぴんぐ? なんですか、それ?」
萌が、キョトンとした顔で言う。僕は、意味はわかるが理解できていない。千里さんが、そんなことを言っているとは思えないし、違う意味のスワッピングがあるんだろうなと思った。
「パートナーを入れ替えてエッチするって事だよ」
遥人さんがそんな説明をした。僕が思ったのと同じ意味で、驚いてしまった。
「えっ、ど、どういうことですか? 入れ替える? 千里さんと私が入れ替わる?」
萌は、まだ理解できていないみたいだ。
「そういう事だよ。まぁ、エッチって言うのは冗談だけど、パートナー入れ替えて過ごしたいって言う話だよ」
遥人さんが、そんな話をした。その話を聞いて、少しだけホッとした。
「そういう事なんですね。それって、面白そうです。やってみますか?」
萌は、意外なほど乗り気だ。
「えっ? 萌ちゃん、興味あるの?」
動揺していた千里さんが、意外という顔になった。ふと思った。千里さんは、どうしてあんなに動揺して顔を真っ赤にしていたのだろう? エッチしないのであれば、そんなに動揺しなくても良いと思う。
「はい。興味あります」
萌は、きっぱりと言う。
「じゃあ、やってみようよ。淳也君もOKでしょ?」
遥人さんが、急に僕に話しかけてきた。思わず、エッチはないんですよね? と聞いてしまった。別に、千里さんとエッチしたいという意味ではない。さっきの千里さんの態度に、まだ違和感を感じているせいだ。千里さんは、エッチも混みのスワッピングの話をしていたのではないか? そんな気がする。
「じゅん君、千里さんとエッチしたいって思ってるんでしょ! そんなのダメだよ」
萌は、すねたように言う。萌は、不思議なほど僕に執着してくれている。街を歩いていて、ミニスカートの女性を見ただけで怒られるくらいだ。
「あら? 私はダメじゃないけどなぁ」
千里さんが、ドキッとするような事を言う。
「ダメです! そんなのダメです!」
萌は、慌てて叫ぶ。
「萌ちゃんは、淳也君の事大好きなんだね」
遥人さんが、そんなことを言ってくれた。
「はい。大好きです」
萌は、恥ずかしそうに言った。照れ臭い気持ちになるが、素直に嬉しいと思う。萌は本当に僕の事を好きでいてくれる。
「フフ、仲良しね。でも、そんな事聞かされちゃうと、誘惑したくなっちゃうわ」
千里さんは、妙に色っぽい目つきで僕を見てきた。いままで、そんな目で見た事がなかった千里さんを、卑猥な目で見てしまう。
「ダメです! 千里さんが相手だと、萌負けちゃいます!」
萌は、必死になっている。冗談で言われているだけなのに、真に受けるのが彼女らしい。
「そっか、僕は萌ちゃんとしたいけどなぁ」
遥人さんが、明らかに冗談を言っているとわかる口ぶりで言う。でも、萌は一瞬で耳まで真っ赤にしながら、
「ダ、ダメです。私なんて、千里さんに比べたら……可愛くないし、デブだし……」
と、モジモジと言う。この瞬間、初めての感覚が訪れた。萌が、遥人さんとセックスをする……その場面を想像してしまった。同時に、強い嫉妬を感じた。そして、それと同じくらいの興奮を感じてしまった……。
「そんな事ないよ。萌ちゃん、私よりずっと可愛いわ。デブなんかじゃないし。私が細すぎるだけよ。男の人って、萌ちゃんくらいの身体が一番好きなのよ」
千里さんが、そんなことを言う。今日は、いつになく下ネタ気味の話題が続く。今までにない展開に、僕も戸惑ってしまう。
「そうそう、萌ちゃん、すごく可愛いと思うし、セクシーな身体してるって思うよ」
遥人さんがそんな風に褒める。普段から、萌の事が可愛いと言ってくれるが、身体の事まで言うのは初めてだ。萌が、性的な目で見られている……そう思うと、強烈にドキドキしてしまう。今まで考えた事もなかった事だ。
「そんな事ないです……千里さん、凄く綺麗だし……脚も長いから」
萌は、不思議と千里さんに対抗心を持っている感じがする。別に、ベクトルが違うだけで、二人ともイイ女だと思う。
「ありがとう。でも、パパはそう思ってないみたいだけどね。最近、すっかりご無沙汰だもの」
千里さんは、ドキッとする事を言う。
「そ、そんなことないって、違うよ、その……忙しいから」
遥人さんは、慌てて言い訳をする。まさか、二人の夫婦生活の事を聞かされるなんて、思ってもいなかった。
「萌ちゃんのところは?」
千里さんがウチの夜の話を聞いてきた。戸惑ってしまう僕だが、萌が素直に、
「週に1回くらいになっちゃいました。じゅん君、萌の事飽きてるのかも……」
萌は、寂しそうに言う。確かに、以前は週に2~3回くらいはしていた。
「えっ? 毎週? それって、全然飽きてないって事よ。羨ましいわ」
千里さんが、本当に羨ましそうな顔で言う。意外な展開だ。まさか、ウチが羨ましがられるなんて思ってもいなかった。
「でも、前は週に3回とか4回してたから……」
萌は、恥ずかしそうに昔の事を話す。萌は、ロリ可愛らしいルックスとはギャップがあるほど、性欲が強い。セックスそのものが好きと言う事もあると思うが、愛されていると感じる事が出来るからだと思う。
「そんなに!? 淳也君、体力凄いのね」
千里さんは、かなり驚いている。でも、実際は萌が上になる事もあるので、そこまで体力は使わない印象だ。最近回数が減ったのは、確かにちょっと倦怠期的な飽きが来ているのかもしれない。
「パパ、途中で柔らかくなっちゃうのよね」