偶然、嫁の亜衣が配信者だったことを知った。嫁の亜衣とは、結婚して2年経つ。お互いに28歳で、まだ子供はいない。亜衣は150センチと小柄で、顔立ちも幼いせいでよく学生に間違えられる。ただ、胸だけは大きく、服を着ていると太って見えることが悩みのようだ。
そんな亜衣が、僕に内緒で配信活動をしていることを知ったのは、ついさっきの話だ。最近、配信者がリスナーに襲われる事件があって、なんとなく興味を持って配信プラットフォームでいくつか配信を見ている中のひとつが、亜衣のものだった……。
ただ、亜衣は顔をマスクで隠して配信していたので、さほどフォロワーもいなかった。何千人、何万人とフォロワーがいる配信者の中で、数百というレベルの弱小配信者だった。それでも、亜衣がそんなことをしていることに強い衝撃を受けた。
最初は、体型が似ているなと思って目に留まった。でも、特徴的なアニメ声が、まさに亜衣そのものだった。それでも、亜衣が配信しているとは思わずにそれを見ていた。似ているなと思いながら見続けていた。まさか、亜衣がそんなことをしているなんて、夢にも思わなかったからだ。
そして、しばらく視聴していて、亜衣だと気がついた。話している内容が、亜衣の好きな神社仏閣の話が多かったからだ。その衝撃は、言葉では言い表せないほどだ。
その配信プラットフォームは海外の物で、卑猥な配信ばかりだった。胸を出すのは当たり前で、性器やオナニーまでさらしている配信者もいる。そんな中で、亜衣は雑談をする感じの配信をしていて、同接視聴数もかなり少なかった。ただ、胸の谷間が見えるくらいのキャミソールを着ていたので、少しセクシーな感じではある。それでも他の配信者みたいに過激なことをしていないので、視聴数はまったく伸びないようだ。
色々プロフィールを見ると、始めたのはまだ最近のようだ。プロフィールには、149センチGカップと書いてある。身長は1センチさばを読んでいるが、胸の大きさはそのままだ。そして、人妻と言うことは隠しているようで、年齢も22歳と結構さばを読んでいる。
亜衣は、本当に日常的な雑談をしている。そして、コメント欄に書かれたコメントに、自分の声で返事をするみたいな感じだ。そういうプラットフォームの視聴者なので、当然コメントは卑猥なものばかりだ。
配信を見ていると、まったく噛み合っていなくてシュールにすら見えた。亜衣は、自分の好きな神社仏閣の話をしたりしているが、質問は恋人いるかとか、オナニーはしているかとか、おっぱい見せてとかそんなものばかりだ。
「え? おっぱい? はい」
亜衣は、そう言ってキャミソールを一瞬まくり上げた。すると、ブラジャーをしていない大きな胸が一瞬あらわになった。乳首も含めて、完全に見えてしまった……。すると、投げ銭がされた。驚くことに、1万円投げられている。
「たかさん、ありがとう~」
亜衣は、画面に向かって笑顔で手を振る。マスクで顔が隠れていても、目が笑顔になっている。亜衣の大きな目は、マスクをしていることでより際立っているように感じる。すると、2万円を投げる視聴者がいた。
「あっくん、すごい! いつもありがと~」
亜衣は、笑顔で手を振る。そして、3人目が2万5千円を投げた。
「チンジャオさん、大好き!」
一瞬おっぱいを見せて、5万5千円? 同時視聴者は20人程度しかいないのに、これはなんだ? 僕は、完全にフリーズ状態だ。ただ、おっぱいを見せたあとは、また神社仏閣の話が続く。
コメント欄をよく見ると、投げ銭をした視聴者は真面目に神社仏閣のコメントを書いている。どうやら、亜衣がお勧めしたところを実際に見に行ったりしているようだ。卑猥なことを書いているのは、投げ銭をしていない視聴者ばかりだ。もう、さらに意味がわからなくなってしまった。
自分たちは卑猥なコメントを書かないのに、他の視聴者が卑猥なことを書いて亜衣がリアクションすると、投げ銭をする? それにしても、平気でおっぱいを見せてしまったことに、まだ動揺している。
「パンツ? 可愛いのじゃないよ」
亜衣は、立ち上がってスカートをまくり上げた。それは、いつも穿いているようなブルーのありふれたショーツだった。すると、また同じ展開だ。ただ、さっきの3人ではない視聴者が、競うように投げ銭をしている。
この1時間くらいで、もう10万円を超えた……。投げ銭を、こんな風に競うようにすることに強い衝撃を受けてしまった。そんな風に、配信が続く。神社仏閣や、時事ネタを話す亜衣、そして、真面目なコメントに混じる卑猥なコメント……亜衣がたまにそれにリアクションすると、投げ銭が行われる。まだ理解が追いつかない。
「もう、投げ銭終了ね。エッチなの終了~」
亜衣は、そんなことを言い始めた。そして、京都のよく聞いたことのない神社の話を始めた。本当に楽しそうに話している。そして、卑猥なコメントもガン無視だ。同時視聴者数はさらに減って10人くらいになったが、それでも亜衣は楽しそうに話している。コメント欄は、亜衣と同じくらいの熱量で神社のことを書く人もいる。それを見て、亜衣はさらに熱を込めて話す。
亜衣の目的がわからない。お金のことがメインなら、投げ銭終了なんて言わなければ良いと思う。こんなのは、濡れ手に粟だと思った。あんなに短時間で10万以上の収益になるのなら、なぜ止めるのだろう? 10万の投げ銭で、亜衣にはいくら入るのだろう? そんなことを考えてしまった。
そして、僕はそんなことを考えている自分に呆れてしまった。亜衣のこんな異常な秘密を知って、考察している。そんなことしているヒマがあったら、止めるべきだ。それにしても、どこで配信しているのだろう? 漫画喫茶? 個室ビデオ店? なんか、狭い空間で配信している。
今日は、亜衣は遅くなると言っていた。仕事が立て込んでいると。亜衣は、不動産の賃貸会社で営業をしている。たまに帰りが遅くなるが、僕もよくあることなので気にもしていなかった。
今、亜衣がどこかの個室みたいな所から配信をしている……今すぐ亜衣に電話をかけて止めるべきだと思う。でも、亜衣の楽しそうなおしゃべりを見ていると、止める気持ちがなくなってしまう
亜衣は、まだ神社仏閣の話をしている。どうやら、新選組の屯所になっていたところの話のようで、新選組の話にも熱がこもっている。不思議な時間が続く。亜衣は、胸の谷間も眩しいキャミソール姿のままだ。そして、宣言通りに卑猥なコメントには反応自体をしなくなっている。
ひとしきり話を終えると、
「今日もありがと。本当に嬉しいよ。みんなのおかげで、予定額達成できるかも!」
と、お礼を言って配信を締めた。予定額? いったい何のことだろう? プロフィールなどを見ても、それに関するヒントはない。僕は、しばらく動画を見つめながら、この先どうしたら良いのかわからずにいた……。
帰宅すると、亜衣はもう帰っていた。夕ご飯を作ってくれていて、良い匂いにお腹が鳴ってしまう。
「おかえり! 早かったね。もう少し待っててね」
亜衣は、少し焦り気味に夕ご飯の支度をしていく。僕は、急がなくていいよと言いながら、洗濯物の取り込みなどの出来る家事の手伝いをした。鼻歌交じりに料理をする亜衣……とくに変わったところはないように見える。いつもと変わらない姿だ。
小柄な身体で、一生懸命に料理を作っている。揺れる胸を見ていると、さっきの動画を思い出してしまう。一瞬とは言え、胸を晒していた。大勢の男がそれを見たと思うと、嫉妬や焦りのような気持ちが湧いてしまう。でも、やっぱりなんであんなことをしているのか、理由を知りたい気持ちが大きい。
「お待たせ~」
笑顔の亜衣。本当に、後ろ暗いところなんてない無邪気な笑顔だ。あんな訳のわからない金の稼ぎ方をしているとは、とても思えない笑顔だ……。
「美味しい?」
亜衣は、笑顔で聞いてくる。幸せな時間のはずなのに、どうしても気になってしまう。僕は、美味しいと言いながら食事を続ける。亜衣は、楽しそうに色々な話をしてくる。今日の仕事のことや、週末の予定のことなんかを話してくる。土曜日に、一緒に買い物に行く予定だ。
「まさくん、新しいジャケット見ようよ。そろそろくたびれてきたでしょ?」
亜衣は、やっぱり楽しそうだ。僕は、いつもはあまり気にしない、亜衣の胸ばかりを見てしまっている。こうやって見ると、身長のわりにかなり大きい。配信においては、武器になるのだろうなと思う。でも、胸を見せてまで集客していることに、やっぱりモヤモヤしてしまう。
そして、食事を終えると、自分の部屋で亜衣の配信サイトを見始めた。バックナンバー的なものが見られるかな? と思って調べ始めたが、アカウントを有料会員にしないとダメみたいだ。
亜衣に僕だとバレてしまうのではないかと少し迷ったが、ニックネーム的なもので行けるのが分かり、アカウントを作成してクレジットカード決済をした。すると、動画のバックナンバーが見られるようになったが、5本程度しかない。本当に始めたばかりな上に、それほどたくさん配信していないみたいだ。
こんなアカウントなのに、フォロワーが数百いる? 固定視聴者もついているみたいだし、ただただ驚かされる。もしかしたら、配信業というのはかなり儲かるものなのだろうか? 僕は、疑念だらけのままバックナンバーの配信を見始めた。
亜衣は、やっぱり神社仏閣とか新選組、幕末の志士たちの話をしている。そういうのが好きだというのは知っていたが、ここまでの熱量を持っていることは知らなかった。この配信では、日本刀の事も語っている。そして、コメント欄には、マニアなのだろうか? 亜衣の話題に関して、熱量のあるコメントを返している。
でも、やっぱり下ネタというか、卑猥な書き込みも多い。どうやら、固定視聴者以外にも、フラッと来て卑猥なことを書き込む人がいるみたいだ。
「え? う、うん。してるよ。週に一回くらい」
オナニーをするのかと聞かれて、恥ずかしがりながらも素直に答える亜衣。答えたことにも驚くし、していることにも驚かされた。亜衣が、オナニーをしている……想像したこともなかった。僕とのセックスは、週に1回から2回くらいはある。欲求不満なんて、ないのだと思っていた。
「え~、無理だよ。絶対に無理」
亜衣は、オナニーを見せろと言われて当然断った。でも、コメント欄は何人もの男が煽っている。亜衣は、無理だと言い続けているが、乳首だけのオナニーを見せろというコメントに、
「乳首だけ? じゃあ、服の上からね」
と言って、自分の胸を揉み始めた。服の上からだが、この前みたいなキャミソール姿なので、谷間がかなりエグい。そして、揉んでいるうちに、キャミソールに乳首が浮いてきた。
すると、亜衣はキャミソールの上から乳首を摘まみ始める。無言で、なにも言わずに乳首を摘まむようにしている……。オナニーを見せている? 乳首だけとはいえ、そんな姿まで晒している? もう、ショックと動揺で脚が震えてきた。
「あっ、こうちゃん、ありがと~」
と、亜衣が反応する。見ると、また投げ銭がされていた。2万円……すると、すぐに3万円が投げられた。
「チンジャオさん、大好きっ!」