弟の毅(たけし)は、あれからたびたびあたしのところへ来た。
もちろん、交わるためである。
密会というほどのこともない。
だれも家にはいないのだし、近所付き合いもほとんどない。
よく会う向かいの婆さんには、正直に弟ですと紹介したし、男女の仲になっているなんてよもや思うまい。
ただ、声が聞こえたりしたらやばいなと思うこともあって、毅にホテルでしないかと誘ったことはあった。
二度ほど、名神のインター付近のホテルに毅の軽四に乗せてもらって行ったこともある。
「金がもったいない」
とか言って、結局自宅で声を出さずにするんだけど。
あたしは、思いっきりあえぎたいの。
そうしないと、すっきりしない。
毅は出せば、すっきりした顔ですやすや寝てしまう。
勝手なものだ。男って。
「どうやんの?ひとりでするときって」
昼間なのにカーテンを閉め切った暗い部屋で、弟の持ってきたモザイクのないDVDを見ながら訊いた。
「こうすんねん」
あたしの手を取って、自分の熱い肉棒をにぎらせた。
そうして上下に一定の速さで動かす。
ねちゃ、ねちゃと先走りの液体が音を発する。
「手コキって言うんやで」
「知ってるわ」
「ねえちゃんはひとりでせえへんのか?」
「せえへんかった。でもアンタとこんな関係になってからは、してまうねん」
へへへと笑いながら弟を見上げた。
ほとんど毎日、お風呂や寝床でクリをいじめる。
ショーツを汚さないように、なにも着けないのが基本だった。
毅から「電マ」というものを勧められ、ホテルで使ってみたが、やっぱり自分の手がいい。
あれはあれで、すごいんだけど。
「おれ、ここのシーンで逝きたい」
DVDの画面を見ながら、そんなことを言う。
画面には、髪の長いスレンダーな女が男の上で腰を振っている。
「騎乗位が好きなん?」
「うん」
「やったろか?」
「ほなら、今、同(おんな)じことして」
「しゃあないなぁ」
あたしは、ベッドの上で下半身を丸出しにしている毅に跨った。
かちかちの弟に手を添えて、自分の角度に合わせる。
にゅるり
すでにあたしも濡れそぼっていたので、簡単に納めることができた。
「あふん」
声も出てしまう。
毅のペニスはお臍に向かって鋭角に硬化しているので、女が上に乗る体位での刺激が大きい。
「動こか?」
「動いて」
たぶん、上下に抜き差しする動きがいいのだろうか?
腰を浮かしては沈めた。
「ああ、ええよ。ねえちゃん」
「そうか、あたしもええわ。前に倒れよか」
「そのほうがおっぱい舐められるし」
そういって、たるんだお乳を手荒くつかんで、寄せて乳頭を左右交互に口に含む。
「ふむ。あむ」
「ああ、気持ちええわ。たけし」
「ねえちゃん。やらしい顔になってるで」
「いわんといてぇ」
あたしは、深く挿されたまま、腰で円を描くように回した。
これが、女にとっては腹部全体に快感を広げられるのだ。
毅も腰を微妙に突き上げる。
「当たるわ。あんたの」
「そやろ。おれもわかる。当たってんのが」
かなり濡れて、おつゆが溢れて、二人の結合部を湿らせている。
弟の股の毛の濡れ具合が尋常ではなかった。
「べっちゃべちゃやね」
「すごい音・・・」
五十になった女でもこれほど濡れるものなのか・・
「ねえちゃん、そのまま後ろ向いて。抜いたらあかんで」
「ええ?どないすんのん」
「足上げて、くるっと回るねん」
「こうかぁ」
片足ずつ、弟を越えさせて、横向きから、彼に背を向ける形になった。
「うあ、ねじれるようで、気持ちええ」
毅はそう言った。
あたしも膣がひねられ、不思議な感触を経験した。
「ほら、女優さんみたいに、腰を振ってえな」
画面に目をやると、同じように背中を向けた女が結合部をわざと見えるように、腰を上げ下げしていた。
「うん、あっ。くっ」
「ええ、そう、そう」
毅の肉柱があたしをこする。
これよ。これがいい。
あたしは、スピードを上げた。
「締まる、締まるぅ」
弟があえぐように言う。
あたしも締めている感じがしていた。
なんか、自分の意思ではない膣が勝手に弟を締め上げている。
じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ・・・
抜ききらないところまで抜いて、また押し込める。
この繰り返しがたまらない。
「あ、ねえちゃん、出る、出る・・」
「逝って、逝って、ええから、ちょうだい」
あたしも激しく腰を振った。
いきなり、弟があたしの腰をつかんで固定した。
奥深くで果てたみたいだった。
びくびくと肉の杭がしびれている。
あたしの肉鞘もそれをむさぼっていた。
許されない男の精液を・・・
杭を抜くのが恐かった。
でもそれは独りでにぽろりと抜け落ち、ごぼごぼと泡立つ粘液があとから続いた。
「あ~あ、またやっちまった」
毅が、体を起こしてつぶやいた。
あたしはのろのろとティッシュペーパーを取りに立ち上がった。
シーツは洗わないといけないくらいに二人の液体で汚れてしまった。
おしまい